欧米のエリートはなぜ「NO!」と言うのか

「答えのない問い」で鍛えられる人たち

(写真:ひでっ♪ / PIXTA)
正解のない、哲学的な問いへの思考が幼少から培われる欧米社会。なぜ「エリート」に哲学が必要なのか、世界有数の経営大学院での経験を基に福原正大氏が語ります。
※前回記事:世界のエリートはなぜ3歳から哲学を学ぶか

 

「そうかもしれませんね」

「そうとも言えますよね」

どちらも日本人同士の会話で、よく耳にする相づちではないでしょうか。相手が話した内容を理解してはいるけれど、肯定も否定もしない。そんなあいまいな共感です。

「私はそうは思いません」

「こういう考え方もあるのではないでしょうか」

と相手に自分の考えを返せる人が、どれだけいるでしょうか。

フランスで経験した「高い壁」

ほぼ単一民族に近いとされる日本では、争いごとを避け、以心伝心で相手の意をくみ取ることが暗黙の了解となっている“空気”があります。

相手に反論したり意見したりすることに、なんとなく居心地の悪さを感じたり、“大人げない行為”のようにとらえる人は多いでしょう。反論して感情的な言い争いになるくらいなら、うなずいておけば穏便に済む──そんな消極的な感覚もあるかもしれません。

これでは結論が玉虫色になることが少なくありませんし、仕事であれば、実際に責任の所在もあいまいなままのことが多いでしょう。

日本語は「YES」「NO」をはっきりさせない表現が豊富です。それは必ずしも悪いことではありませんが、グローバルな舞台に立ったとき、そんなあいまいな表現では相手には伝わりません。

1996年、私が当時勤務していた東京三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)の留学制度を活用して、フランスのINSEAD(インシアード・欧州経営大学院)に留学したときのことです。フランス語はもとより英語も流暢ではなかった私には、言葉の壁が立ちはだかり、なかなか友人ができずにいました。

授業についていけず、学校に行くのも嫌になり、日本に戻りたいという気持ちが頭をよぎるような状況でした。人生で初めて胃けいれんを経験したのもこのときです。

そんな中で初めての友人となったのは、フランス人の同級生でした。

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