欧米のエリートはなぜ「NO!」と言うのか 「答えのない問い」で鍛えられる人たち
相手の意見を聞いたら「ノン」と相手とは異なる意見を返すことで、対話に刺激を与える。そうすることによって、自分の考えを深めたり、新しい考えを作り出したりできるわけです。
「正解のない問題」が未来を切り拓く
私は、ディスカッションの中から創造力が作られるという“対話のダイナミズム”を実感しました。相手の意見を疑ったり、「ノン」と返したりすることは悪ではなく、こうした好循環を生むための手段だととらえるのです。
異なる意見を戦わせることで、より正しいと思われる考え方に向かう。これこそ、まさに哲学的思考法の醍醐味です。そうやって「正解のない問題」をお互いに探っていくという感覚です。
私たちの未来には「1+1=2」のように唯一絶対の正解があるわけではありません。未来という正解のない問題に対して、より正しいと思われる道をたどっていく。人生はその繰り返しですし、プライベートにもビジネスにも、同じことが試されるのだと思います。
そのためのとっかかりとして、Who am I? のような正解のない問題について自問自答し、練習しておくことが活きてくるのです。
だからこそ、米ハーバードなど海外のトップスクールの入試で、Who are you? という問題が定番化しているのです。
私が知る世界のエリートたちは、単に有名校を卒業してグローバルな国際社会で活躍し、高収入を得ているだけの人ではありません。世界のエリートとは、現状に満足せず、自己を確立していこうと努力し、なおかつよりすばらしい未来を作ろうとする大局観を持った人たちです。そして、「正解のない問題」について、真剣に考え続けている人たちでもあるように思います。
質疑応答で誰も手を挙げない
「ここからは質疑応答の時間にします。質問のある方は挙手を願います」
日本での講演会や説明会の最後の“定番シーン”です。しかし、誰かが手を挙げるまで、しばらく手が挙がらない。結局、手が挙がらず主催者側が用意した質問を読みあげるというケースも少なくありません。
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