若手世代が「聞けない」状況に陥っている背景には、プライバシーの侵害を極端にとらえ、相手のことを聞こうとすることにものすごく神経を遣っているという現状もあります。
厚労省が打ち出す「パワーハラスメント行為類型」には、確かに「プライベートなことに過度に立ち入るな」という趣旨のことが書かれています。ですがこれを「プライベートにはいっさい立ち入ってはならない」ととらえてしまうと、お互い何も聞けなくなってしまいます。これでは、職場の空気はギスギスしたものになりかねません。
一緒に仕事をしている以上、ある程度お互いの背景を知ることは有用です。家族や生活背景がわかってこそ、お互いに思いやりを持って接することができるでしょう。過度にならない範囲で、ある程度はプライベートな話題を交えるからこそ、話題も増え、潤滑なコミュニケーションがとれるようになると筆者は考えています。
「思いやり」が「セクハラ」と受け止められる!?
最後に、相手にしっかり伝わるコミュニケーションのコツをお伝えしたいと思います。それは、事実をシンプルに、丁寧に伝えること。そして、回りくどく言わないことです。
実際にあった例を挙げましょう。ある職場で、スカートの短かすぎる女性職員がいました。制服があろうがなかろうが職場に相応しい服装というものはあり、TPOを考えない職員に指導をするのはハラスメントに当たりません。それは上司にとって、管理上必要なことなのです。
ただ、この課長は「ストレートに言うと相手を傷つけてしまうのでは」と心配し、「そのスカート、かわいいね。君にとっても似合っているよ。僕的にも好みなんだけど、職場ではちょっとね……」という、なんとも回りくどい言い方で注意をしました。
その結果、どうなったでしょう。女性社員は産業カウンセラーに「課長が変な目で私を見ている」と相談したのです。課長の意向は伝わらず、まったくの誤解を招いてしまったケースです。
「思いやり」も先ほどの「曖昧表現」と同じ。人によって感じ方が違うものです。相手に誤解されないためにも、特に指示や注意にかかわる発言では回りくどい表現を避けましょう。上の例の場合であれば、「職場では、もう少し丈の長いスカートを着用して下さい」や、より具体的に「職場では、ひざの隠れる程度の丈のスカートを着用してください」と伝えるのがよかったのではないでしょうか。
事実をシンプルに、丁寧に伝えること。簡単そうに聞こえますが、普段この伝え方をしていないと意外に難しいのです。ただ、伝え方はトレーニングで上達します。具体的な言葉で、シンプルに、丁寧に伝えることで、指示も明確になり、信頼がアップすること間違いなしです!
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