商談相手の心情を読むのが上手な人下手な人の差 働く人こそ「物語」を読んだほうがいい理由
ちなみに、別の機会には、教師が
「ごんが兵十に栗やきのこを届けたのはなぜ?」
と質問しました。これにはまた多くの子どもが
「悪いことをしたと思ったから」
「兵十がひとりぼっちになってかわいそうだと思ったから」
と答えましたが、先ほど「悪い子だから」と答えた子どもも例外ではありませんでした。「ひとりぼっち」はやはり「かわいそう」だとは認識しているのです。
読解力を考えるうえで、私はこの子どもの解釈を尊重すべきだと思います。
大多数は“よく聞く話” “よく聞く文脈”から、「さびしいから」と考えるけれども、本当にその立場・境遇を知っている者からすると、主観的には少し違うのだ、ということを認める。
どちらが正解、不正解ということではなくて、いろいろなものの考え方や感じ方があることを知る。本当に他者の立場に立とうとするなら、可能な限りその背景や経験を知り、推し量り、共感する必要があることを知る。そして、それを実践していく。
これが読解力の目指すところであると私は考えています。
会議・交渉で役立つ「人を読む力」
人は一人では生きていけない、とよく言います。一人で生きるのは非常に困難なことで、多くの人がどこかで社会やコミュニティーとの接点を持ち、助け助けられながら生きています。
仕事もしかり、多くの場合、人はチームや組織で働きます。一人でできる仕事もありますが、どこかの場面では他者(顧客や協力者)とかかわって仕事を進めることが多いでしょう。
会議や交渉の場面において、内容が非常に重要なのは当然です。内容自体は論理的な事柄であることが多く、会議や交渉に臨む、他者と働くときに必要なことがまだあります。それは、「人を読む」ということです。
人には性格や育ち、そのとき抱えているさまざまな事情というものがあり、それは千差万別です。バックグラウンド(背景)と言われます。ある事柄を論理的にわかりやすく伝えれば、必ずわかってもらえるでしょうか。頭で理解できても、感じ方は相手と自分とで違うかもしれません。
同じことに対しても、これは簡単にできることだ、と経験もあって楽観的な人は思いますが、経験がなく悲観的な別の人は、非常に大変なことだ、とてもできない、と感じるかもしれないのです。
相手の性格やバックグラウンドは、ある程度最初からわかっている場合もあれば、話していくうちにわかってくることもありますが、それによって伝え方や順番を変えていかなければ、納得してもらえないこともありえます。
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