一流の人ほど「睡眠に投資する」超合理的な理由 体内時計が狂うと夜中トイレに起きてしまう

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「プレゼンティーイズム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「病欠」を示す「アブセンティーイズム」に対して、プレゼンティーイズムは日本語で「疾病就業」と訳され、「出勤しても、頭や身体のなんらかの不調のせいで本来発揮されるべきパフォーマンスが低下している状態」のことを指します。

睡眠負債がたまっていくと、体内時計が狂うことでこのプレゼンティーイズムに陥り、集中力が低下してつまらないミスをしてしまうなどパフォーマンスを著しく低下させることがわかっています。

このプレゼンティーイズムによって、全米では年間約1500億ドルもの損失が出ているといわれています。

2016年に発表されたアメリカのシンクタンク・ランド研究所の調査によると、プレゼンティーイズムによる日本の経済損失は、なんと1380億ドル(約18.3兆円)にも達しているとのことです。

少し前までは、成功者にはショートスリーパーが多いといわれてきましたが、それも近年見直されています。生粋のショートスリーパーはほとんどいないといわれているのです。

実際に、3時間睡眠だったとされるナポレオン・ボナパルトも、近年の調査によると、実は日中に昼寝や仮眠をとっていたという説が出ています。

一方で、Amazon創業者のジェフ・ベゾスは「8時間眠ると1日ずっと調子よく過ごせる」と語っています。また、AppleのCEOであるティム・クックは7時間睡眠といわれています。さらにMicrosoft創業者のビル・ゲイツも、7時間睡眠です。

世界的に有名な経営者の多くは、忙しいなかでもしっかり睡眠時間を確保しているのです。

体内時計が狂うと、糖尿病のリスクが3倍になる

一度でも体内時計が狂ってしまうと、すぐには元に戻りません。

「疲れながら、流されながら生きている」という状態になってしまいます。

体内時計がしっかり働いてくれれば、夜は抗利尿ホルモンがたくさん分泌され、眠っているあいだ尿をつくるのを抑制してくれます。

ところが、体内時計が狂うと抗利尿ホルモンの分泌が抑制され、夜中も日中と同じように尿がつくられるため、トイレに起きてしまうようになるのです。

そうなれば、ますます眠りが浅くなってしまいます。

次ページ体内時計の乱れと眠りをもたらすホルモンの関係
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