「気象予報の草分け」森田さんがたどり着いた境地 創業した会社は今100名超の気象予報士が所属
一般的に気象事業は、気象によって出る被害の10倍の損害を食い止めている、といわれています。今は昔と同じ規模の台風が来ても、被害ははるかに小さいはず。インフラの整備とともに気象情報が広く認知されるようになったからです。ただ、いくら損害を食い止めても評価されにくいのが、気象ビジネスの難しいところ。食い止めた損害を定量化できれば、保険業界をはじめ、気象事業はさらに発展すると思います。
──実際に天気予報の精度は上がっているのですか。
かなり上がっています。夕方に出した予報で翌日の天気が当たる確率は85%くらいですね。昔は約70%で数年前に気象庁が出した数字では83%。現在はそこからまた上昇しています。
──気象会社によって予報が違うことがあるのはなぜですか。
気象庁からのデータはどの会社も同じものを使っています。予報はコンピューターで、AI(人工知能)がしていますが、ほとんど差はありません。気象会社によって、どこから晴れでどこから曇りかといった判断や伝え方、表示の仕方で違いが出ているだけなのです。
1日に何十回となく空を見ている
──長年の経験を通して気象予報士の仕事の魅力とは。
1日に何回空を見ますか?私は何十回となく見ています。
雲、風、太陽などから経験的に天気を予測することを「観天望気」といいますが、何十年もやっていると見た瞬間に気圧配置がわかります。空だけでなく、毎日同じ1本の木を見て、花が咲いた、葉が出てきたと変化を感じています。
自然現象に対し、瞬間的に判断することを繰り返すと、情報が向こうから入ってくる。面白いですよ。自然を見る目は人より優れているのではと思っています。
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