(第59回)製造業の海外移転が電力価格の上昇で加速

(第59回)製造業の海外移転が電力価格の上昇で加速

内閣府は、東日本大震災が経済活動に与える影響の推計を公表した(下表)。これによると、2011年度の生産減は最大2・75兆円だが、これは実質GDPの0・5%程度に相当する。しかし、この程度の影響で済むとは、とても考えられない。

なぜなら、今後の電力制約は極めて厳しいからである。内閣府の試算では、この要素は考慮されていない(「不確実性が高く、各経済主体の対応如何により影響が左右されることから、具体的な値の算出は困難」としている。考慮されているのは、設備の損壊と部品の供給不足である)。しかし電力制約こそが、最も重要な制約なのだ。

それがどの程度のものかを試算しよう。東京電力の場合、今年の夏の需要6000万キロワットに対し、今後の火力発電所の復旧があっても供給能力は4500万キロワット程度にとどまると見られる。したがって、需要を25%程度カットする必要がある。すべての需要が同じ率で減少すれば、企業使用の電力も25%減少する。削減は7~8月のみでは済まず、12月以降も10%程度の削減が必要となる可能性が高い。すると、11年度の使用電力は7%程度減少する。

他方で、09年度の特定規模需要の販売電力量は、東京電力が1727億キロワット時、東北電力が499億キロワット時であり、この合計は全国(5283億キロワット時)の42・1%だ(注1)。したがって、日本全体の企業の電力使用は約3%減少する。経済活動が同率だけ縮小するとすれば、GDPは約3%縮小する(注2)。

これは、内閣府の見通しをかなり上回る。つまり、設備が災害によって直接損壊された影響よりも、健全な生産設備を電力不足で稼働できない影響のほうが、はるかに大きいと考えられるのである。

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