「何のツテもお金もなく。10万円で1カ月のフリーエアチケットを買って、5万円だけ握りしめてパリへと向かいました。無謀です(笑)」
パリに着くとまずは、モデルエージェントを巡ったものの、誰にも相手にしてもらえなかった。オーディションを受けることすらできなかった。しかし、ただで帰るアンミカではない。
「エージェントでは門前払いされましたけど、『なぜ私はダメなんですか? 理由を教えてください』と頼み込み、1人に貴重なアドバイスをもらいました。今や、私といえばの言葉……『白は200色ある』は、あるエージェントの方に言われたもの。さえないモデルだった私に、『あなたはもっと自分の見せ方を知った方がいい。たとえば、白は200色あるのよ。あらゆるショップに足を運び、たくさんの洋服を見て、いちばん似合う白を選ばないと』と教えてくれました。今も私の指針になっています。
モデルとして一流に、唯一無二の存在になりたいなら、私はまだまだ自分を磨くべきだと気づけたし、それ以前に自分をもっと知るべきなんだと思い知らされました」
自分が取り組むべき課題が明確になれば、どれほど苦い経験も糧に変わる。
パリから帰国後も貧乏生活を送りながら、自己探索を繰り返して自分を磨き、オーディションを受け続けた。さらに、アンミカといえば、今や21個の資格を持つ資格マニアとしても知られているが、資格取得に精を出し始めたのもこの頃だ。
「これも父の教えです。モデルになるなら中身も磨けと。見目麗しい人がたくさんいる世界。何で自分を差別化するかというと、内面しかない。知識や教養を身につけるために新聞を読むこと、資格を取るのは良い方法だと言われて、資格を取り始めたんです」
チャンスは突然に
チャンスは突然、しかも、意外な形で訪れた。
「京都で海外の雑誌社がスポンサーにつく面白いショーがあるから、顔を出さないかと誘われたんです。海外の人気カメラマンの方々も撮影しにくるからと」
しかし、当時は、大阪から京都への交通費すら厳しい経済状況。断ろうと思いながら家に戻ると、実家を出てから初めて父親からの手紙が届いた。
「『チャンスは後ろからも来るんだ』と書いてありました。曰く、チャンスが前からやってくるなら人間はサボる。先に努力しておけ。その上で、いろんなところに足を運んで、突然のチャンスも掴むんだということが書いてあって……。まるで今の私の状況を言い当てられているようで、ハッとしました。『今日のショーに行かなきゃ』という思いが湧き上がってきて、急遽参加することにしたんです」
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