学校では習わない「微分積分」の意外すぎる活用法 実は電子体温計や桜の開花予想で使われていた

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学校で教わる「微分積分」は、世の中でどう役に立っているのでしょうか(写真:kokano/PIXTA)
東大クイズ王で、「数学博士」でもある鶴崎修功さん。本稿では、『文系でも思わずハマる 数学沼』の著者でもある同氏が、学校で教わる「微分積分」が世の中でどう役に立っているのかを身近な例を挙げながら解説します。

実は身近な「微分」と「積分」

自動車には、速度メーターが搭載されていて、走行中の速度がリアルタイムに表示されますよね。たとえば、「時速60km」といった場合、「1時間に60kmの速度で走行している」という意味ですが、なぜ、1時間走行したわけでもないのに、速度がわかるのでしょうか? 考えてみると不思議ですよね。

実はこれは、高校の数学で習う「微積分法」のうちの「微分法」を使っているのです。

まずは、そもそも微分法とは何かという説明から始めることにしましょう。

16世紀のヨーロッパにタイムスリップします。当時ヨーロッパでは、各国同士が戦争を繰り返していました。その中で、大砲を相手に命中させるため、砲弾は一体どのように飛んでいくのか、その軌跡の研究が盛んに行われていました。この問いに答えを出したのが、ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)でした。

飛ばした砲弾は、重力によって地面に向かって落ちていきますよね。ガリレオ・ガリレイは砲弾の進む速度を、重力を受ける下向きの速度と、まっすぐに飛んでいく水平方向の速度との2つに分けて考えました。

そして、水平方向の速度は変わらない一方で、下向きの速度のみが、時間の経過とともに変化していくことに気づきました。最初は上向きだった速度が徐々に遅くなり、ついに0になり、その後は下向きの速度が徐々に速くなっていくことを発見したのです。

その後、17世紀に入り、フランスの数学者で哲学者のルネ・デカルト(1596~1650)が、「座標」を考案したことなどにより、砲弾が描く軌跡は、二次関数のグラフで表すことができることがわかりました。そのため、二次関数が描く曲線は「放物線」と呼ばれています。

さらに、砲弾が描く軌跡を二次方程式のグラフで表せるようになったことで、砲弾がどれくらい先に落ちるのかが、計算によって導き出せるようになりました。

一方で、当時の数学者たちは、刻々と変化し続けている砲弾の速度を、計算によって導き出したいと考えるようになりました。このような中、二次関数が描く曲線に、ある1点だけで接する直線の式を求めることができれば、その直線の傾きが、その瞬間の速度を表すということがわかってきました。この直線のことを「接線」といいます。

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