絶好調の「伊勢丹新宿店」を支える顧客たちの正体 22年度の売上高がバブルの最盛期越える公算

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パリ・ファッションウィークの公式スケジュールに名を連ねる日本のファッションブランド「マメ クロゴウチ」は、そんな出世組の代表例だ。ブランド設立当初からリ・スタイルで販売し、シーズンを重ねるごとに着実にファンを増やしてきた。

2021年からは定期的なコラボレーションプロジェクトを実施。2月には常設店をリ・スタイル内に設け、3月29日〜4月4日にかけて開催した本館1階「ザ・ステージ」で開催したポップアップショップも大盛況だったという。

こうした国内ブランドの育成は、これまで大手セレクトショップが担ってきた部分が大きかったが、セレクトという性格上、ブランドのフルラインナップを揃えることができず、点でしか見せられないという弱点を抱えていた。

でも伊勢丹なら掛け率などの条件は厳しくても、ブランドの世界観をしっかり見せることができる。マメ クロゴウチは今、日本発のラグジュアリーブランドとしての階段を着実に上っているが、伊勢丹新宿本店が果たした役割は決して小さくないだろう。

もちろん、売り上げの多くを欧米のトップメゾンの服、時計、宝飾品が占めるのは間違いない。でも、こうした国内ブランドの育成をはじめとした小さな積み重ねが、伊勢丹新宿本店を“日本一のファッションの館”に押し上げ、ファッション感度の高い層、新富裕層を惹きつけているのである。

富裕層の“特需”を維持できるかがカギ

今後の課題を挙げるなら、ECのさらなる強化と、コロナ禍の超富裕層・富裕層による“特需”を維持できるかどうかだろう。三越伊勢丹の2021年度のEC売上高は372億円(前期比18.1%増)で、三越伊勢丹オンラインストアのEC売上高は120億円(前期比17.6%増)。コロナ禍で大きく伸びたものの、依然としてEC化率は10%以下で、大手アパレルやセレクトショップに大きく水を開けられている。

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