絶好調の「伊勢丹新宿店」を支える顧客たちの正体 22年度の売上高がバブルの最盛期越える公算
また、駐在員によるパリコレのファッションショーへのアテンド、海外での挙式やオートクチュールのオーダーなど、店舗外の新しい顧客体験価値の提供もトライアルで実施している。さらには旅、投資、自動車購入、プライベートジェットのチャーターなど、外商の品揃えを拡充。こちらは日本橋三越外商部で先行している事例で、そのノウハウを伊勢丹新宿本店にも広げているという。
さらに、三越伊勢丹グループのクレジットカード「エムアイカード」の年間購入額が300万円以上のプラチナ顧客の拡大を推進。年間購入額が100万円以上のゴールドカード以上で10%のポイントが貯まるほか、プラチナ顧客には外商部に属するストアアテンダントが、店舗内の買い物を、フロアを超えてサポートするサービスも実施している。
超富裕層・富裕層へのアプローチ強化は2021年度から好結果が出ており、外商統括部が本格的に稼働した2022年度の外商総扱高は、三越伊勢丹全体で860億円を見込んでいるが、大幅に上回ってくるのは間違いないだろう。
名実ともに日本一感度の高い館に
成功の第2の理由として、名実ともに日本一高感度なファッションの品揃えを実現していることが挙げられる。
百貨店は終わったと言われるようになった1990年代から2000年代にかけて、高感度層に響くファッションを供給してきたのは、ビームスやユナイテッドアローズ、ベイクルーズなどの大手セレクトショップだった。しかし、年を重ねるごとに利益率の高いオリジナル商品の比率が増え、強みとしていた世界中から集めたセレクト商品の品揃えが縮小。現地でのバイイングができなかったコロナ禍でその流れはさらに加速した。
伊勢丹新宿本店は、世間から百貨店はダサいと言われるようになった1990年代から、地道に高感度化に取り組んできた。百貨店の自主編集売り場の先駆けとなった「TOKYO解放区」、世界中の尖ったブランドをセレクトしてきた「リ・スタイル」が代表例で、そこから大きく巣立ったブランドも枚挙にいとまがない。
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