絶好調の「伊勢丹新宿店」を支える顧客たちの正体 22年度の売上高がバブルの最盛期越える公算

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野村総合研究所によると、2021年の日本の富裕層の純金融資産保有額と世帯数は259兆円、139.5万世帯で、超富裕層は105兆円、9万世帯。両者を合わせると364兆円、148.5万世帯となる。

富裕層・超富裕層の純金融資産保有総額と世帯数は、2013 年以降は一貫して増加を続けており、それはコロナ禍でさらに加速。2019年から2021年にかけて、富裕層・超富裕層の純金融資産保有額の合計額は9.3%(333兆円から364兆円)増加し、超富裕層は3000世帯、富裕層は15.5万世帯も増えている。

超富裕層と富裕層

伊勢丹新宿本店は、こうした超富裕層・富裕層、なかでも30〜40代の“新富裕層”の囲い込みに成功したとみられる。実際、伊勢丹新宿本店の2021年度の買い上げ上位顧客5%による買い上げシェアは50.9%(2020年度は47.7%)に上昇。さらには49歳以下の外商購買額シェアが5.3ポイント増の28.9%(2020年度は23.6%)となり、外商顧客の若返りも進んでいるのだ。

同社が3月15日に発表した2月の売上高(確報値)によると、「伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店では、引き続き高付加価値な商品への購買意欲が高く、時計・宝飾・ハンドバッグに加え、ラグジュアリーブランドの春物衣料も好調に推移している」としている。

なぜ新富裕層の囲い込みに成功したのか?

成功の第1の理由は、個人外商改革にある。同社は2022年4月から外商統括部を本格稼働し、三越と伊勢丹の暖簾で分けるのは止め、場や店舗にとらわれない外商サービスを強化。具体的な施策として、①AIを活用した営業の強化、②接客の場を店舗の外へ拡大、③これまで百貨店が扱ってこなかった商品供給体制の構築、④プラチナ顧客数の拡大――を推進した。

①に関しては、外商担当者やバイヤーの知見や経験に加え、定量データを活用したデータマーケティングを実施。そのデータをMD、バイヤーと共有することで、顧客の期待を上回る商品を供給できる仕組みの構築を推進している。

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