「やる気のない上司」こそ出世させたほうがいい訳 自衛隊で採用される「作戦術」をチームに生かす

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チームビルディングには、自衛隊や米軍で採用されている「作戦術」が有効だといいます(写真:akiyoko/PIXTA)
4月、新しいチームを束ねることになった人もいるかと思います。「『理想のチーム』に最適化するには『作戦術』の思考が必要」だと語るのは、元陸将で西部方面総監を務めた小川清史氏です。最小の努力で最高の成果をあげるこのメソッドは、組織・チーム・ビジネスを勝ちに導くといいます。
本記事は、『組織・チーム・ビジネスを勝ちに導く 「作戦術」思考』より一部抜粋・編集してお届けします。

“個々人の努力”が「理想のチーム」をつくる訳ではない

「この社員は会社の戦略に沿わないことをしているのに、どうして誰もそれを指摘しないんだ?」

自衛隊を退職後、民間企業と接点を多く持つようになった私は、たびたびそう感じる場面に出くわすことがありました。驚いたことに、企業の意思決定に関わる役員クラスの方々ですら、会社の戦略に基づかない発想で仕事をしていることが珍しくなかったのです。

長年自衛隊で戦略、戦術、そして作戦がどうあるべきかの研究を続けてきた私にとって、それはちょっとしたカルチャーショックでした。

簡単に自己紹介をさせていただくと、私は、防衛大学校(第26期生、土木工学専攻)・陸上自衛隊幹部学校(第36期指揮幕僚課程)を経て1982年に陸上自衛隊に入隊し、1985年の日航機墜落事故、1995年の阪神・淡路大震災の災害派遣等に従事しました。2015年に九州・沖縄地方を管轄する西部方面総監として着任し、2016年の熊本地震の際には、JFT(統合任務部隊)指揮官として災害派遣の指揮を執りました。

そうした経験から、私にとっては「全体的な目標(戦略)と個別の行動(戦術)をどのように結びつければ最大限の成果が期待できるか」「“個別最適”を調整しつつ、いかに“全体最適”を達成するか」といったことが自衛官時代を通じての大きなテーマでした。そしてそれはビジネスの世界でも生かせると考えています。

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