「やる気のない上司」こそ出世させたほうがいい訳 自衛隊で採用される「作戦術」をチームに生かす
また、その前に部品納入の下請け工場には、あらかじめ120台分の納入数と、納入時期を明示して、厳守させる必要があります。
さらに、100台から120台へと一日の製造台数を増やすためには、各セクションが無理なく稼働するように、昼休みや就業時間を短縮して作業時間を増やしたり、ベルトコンベアの速度を可能な範囲内で速めたりする一方で、従業員の負担増に応じた休憩の与え方を見直すなど、さまざまなマネージメントが必要となるでしょう。
リーダーの権限の“簒奪”が行われている
なお、この事例で述べているのは「場所の限界による全体最適の低下」ですが、「時間の限界による全体最適の低下」のケースも考えられます。仮に、リーダーに対して「製造台数増加に伴う問題点」などについて5個のセクションが状況報告する場合、全体で50分しか使える時間がなく均等に10分ずつを割り当てたにもかかわらず、特定のセクションが30分を使ってしまったとしたらどうなるでしょうか?
リーダーが判断するために必要な情報が偏って提供されてしまい、全体最適を達成する判断ができなくなるかもしれません。言うまでもなく、この自動車工場の事例は、説明をわかりやすくするためにやや極端な設定にしています。
あくまでもフィクションですが、イメージは湧きやすいと思います。現実世界においては、全体の管理者(工場長、リーダー)の判断を仰ぐことなしに各セクションの担当者が勝手に増産をするというのはおそらくあり得ないでしょう。
会社から各セクション担当者に増産・減産の決定権が付与されているのならばともかく、大抵の場合それはリーダーに属する権限のはずです。
しかし、工場のように物理的に数字が目に見える組織運営とは異なり、損失が数字で計れないようなケースでは、実は意外と日常的に、こうしたリーダーの権限の“簒奪(さんだつ)”が行われています。
これは欧米社会ではあまり起こらない、日本社会特有の現象ではないかと思われます。
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