MacBookはダメパソコン?神パソコン? 「1台ですべて」への最適解を巡る戦い

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インターネットに接続する”ノートパソコン型の新端末”としてMacBookを捉えるならば、その性能は申し分ない。しかし、”従来からのパソコンとして使いものになる性能や拡張性はあるか”という視点でみると、不満が多いのも事実だ。そうした要素が欲しいならば、MacBook ProやAirを買えばいい、というのがアップルの考え方だろう。

このように考えていくと、新しいMacBookの意味づけができるのではないだろうか。MacBookがピタリと来るのは、「自分には個人用のパソコンは必要ないと感じながらも、タブレットでは不満が残る人」だ。ノート型パソコンという形はそのままに、クラウド時代の利用環境に合わせて再定義した、より身近なパソコンを目指したMacBookは、そうした人に最適化したものだ。本機をしばらく仕事の中で使いながら、そう感じた。

機能をそぎ落とす一方、利用者との接点になるユーザーインターフェイスを磨き込んでいるのも、MacBookの特徴だ。具体的にはキーボード、トラックパッドが秀逸だ。

まずはキーボード。従来のX型の見えるパンタグラフでキートップを支持する構造を改め、蝶の羽根のように支持するバタフライ型のメンバーでキートップを支えるようになった。これにより、キートップが揺れず、正確にピストン運動をするという。

実際にタイピングすると、確かに従来に比べて”緩さ”がなく、切れの良いクリック感とともにシャープなタッチの印象を受ける。従来とはかなり異なるタッチのため、当初は”もっと曖昧さが欲しい”と思うが、慣れてくるとリズム感よくタイピングしやすいと感じるようになってきた。

慣れるだけなら10分ほどで済み、数時間も使えばMacBook Proのキーボードが重ったるく感じてきた。今、まさに横に並べて原稿を作成しているが、慣れてミスタイプが減ってくるとMacBookの軽快さが恋しくなる。

圧力センサーをガラス板の四隅に配置したトラックパッドも、新しい挑戦だ。センサーとガラスの間には柔軟性のある素材が挟まれているようで、僅かにストロークがある。内蔵する電磁アクチュエータで、クリック感がフィードバックされるが、軽く押し込んだ場合と強く押し込んだ場合、二回に分けてクリック感がフィードバックされる(二回目の方が強い振動)。

スペックより”使用者との接点”に力点

新しいMacBookを使い込んでみると、初対面では見えてこない、”スペック数値”以上の価値があるように感じる。本機をスペックで推し量るならば、薄く軽量で美しいデザインと質感を持つものの、従来の常識からすれば高価すぎる製品と言える。大ヒットがとても望めるとは思えない。

しかし、新しい技術を盛り込んだキーボードやトラックパッドを始め、”使用者との接点”に重きを置いたクラウド時代のパソコンと捉えれば、評価は変化してくる。いずれにしろ、他製品とは力点の置き方が大きく異なるMacBookは、購入者に大きな印象を残す製品になるだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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