MacBookはダメパソコン?神パソコン?

「1台ですべて」への最適解を巡る戦い

iPad登場から5年が経過し、iPadは、伸び悩みが顕著な商品ジャンルとなっている。iPadでやれないことの多さに気づき、パソコンに戻って来た人も多い。そんな人たち対して、iPadではなくMac側から最適解を探したのがMacBookという見方もできる。

ではアップルの出した答え=新MacBookは正しいのだろうか。筆者はうまく行っているように感じる。もちろん、パソコンを購入しようと思っていなかった層を捕まえられるのか?と聞かれると、やや疑問も残る。しかし、現在ある(すなわちWindows 10世代ではない)2-in-1よりも上手にユーザー体験を演出している。

まず、アップルは時間をかけて、デスクトップ画面+マルチウィンドウでの柔軟な作業性というパソコンらしい操作性と、シンプルにひとつのアプリケーションで操作する全画面アプリの使い勝手を違和感なく組み合わせるようMacOS Xのユーザーインターフェイスや機能に改良を施してきた。

好評だった複数デスクトップを切り替える機能と多数のウィンドウを整理して見せる機能を敢えてやめて、コンセプトだけは引き継ぎながら”アプリケーションの全画面モード”を組み合わせ、それらを統合的に操作するMission Controlという操作スキームを確立した。

当初は洗練度も今ほど高くはなく、またアプリケーション側の全画面モード対応がこなれていなかったため「むしろ使いにくくなった」と不満をいうユーザーもいたが、細かな改良を重ね、今はむしろMacOS Xの強みになっている。

全画面にした定番作業のアプリケーションをトラックパッドのジェスチャやMission Controlでサラサラと切り替えながら、一方で多数のウィンドウを自在に扱ってアプリケーション同士の連動作業を行う。

今のMacOS Xは、27インチといった大画面で伝統的なパソコンらしくデスクトップを拡げても、12インチのコンパクトな画面でウィンドウと全画面を切り替えながら使っても作業性、生産性が落ちないよう作り込まれている。

とはいえ、筆者は、新しいMacBookのすべてを肯定しようというわけではない。たとえば、新しいMacBookに多種多様な周辺機器をケーブルで接続して使いたいなら、他のモデルの方がいい。アップルはノート型に3タイプ5種類のMacBookファミリーを用意している。MacBookは視点を変えて生み出された、新たな選択肢の一つでしかない。

ケーブルではなく通信の活用が前提

MacBookには電源供給と高速通信を兼ねることができ、デジタルディスプレイから周辺機器まで外部接続を万能的にサポートするUSB Type-C端子を通じて拡張する方法も提供はされている。しかし基本的にはワイヤレスで周囲とつながっていくよう作られている。内部のストレージもあるものの、クラウドのストレージを活用することが前提だ。

これまでアップルが提供してきたクラウド系の情報共有、ネットワークドライブは、パフォーマンスや機能に満足できるものがなかったが、iCloud Driveは使いやすいと感じるレベルに達している。

情報コミュニケーションはクラウドの中だけで完結するというユーザーならば、旧来のパソコンの概念にとらわれることなく、iCloud DriveやマイクロソフトのOneDriveなど、好みのサービスを使ってMacBookを使いこなすことができる。

次ページ”ユーザーとの接点”にコストを割り振った
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