究極の道具「VAIO Z」が向かう先とは? 「質」を「量」につなげられるか
ソニーからの分離、投資会社への売却が発表されてから1年あまり。「VAIO株式会社」として再出発を図ったVAIOブランドは、記者発表を行えば溢れるほどの人が集まり、試作機を披露すればブースは人垣となった。VAIOは長野に本社を構える小規模パソコンメーカーという現在の境遇からは想像できないほど、期待と注目が集まっている。
一方で、ソニー時代からキャリーオーバーした製品は新鮮味を失いかけており、流通経路を絞り込んだ結果、ブランド認知は高いものの一般消費者との接点が少ないという悩みも抱えているように見える。パソコンの情報に敏感なエンスージャストやVAIOブランドのファンは、常に同社の動向を気にかけているが、新会社としてバズる(拡散する話題を作る)には、もっとカジュアルにエレクトロニクス製品に接している層にも、認知を拡げる必要がある。
単に良いパソコンを作るだけでは縮んでいく
規模が小さくなったVAIOは、一部の使い勝手の良いパソコンを求める層に刺さる製品を作っていく、というコンセプトを掲げている。しかし、いくら良いパソコンを作っても、新しい刺激を市場に与え、話題を生み出さなければ、存在感は小さくなっていく一方だ。
事業規模が小さくなった、つまり広告やPRに使える予算も限られたVAIOが、そのブランドを維持し、さらに大きくしていくには、単に「より良い製品」というだけでなく、「オーナーだけでなく、その周囲も憧れるような魅力に溢れた製品」でなければならない。近年、成熟したデジタル製品の代表格のように言われてきたパソコンという商品ジャンルで、果たしてそれが可能なのだろうか。
VAIO発足後に初めて発売される商品として2月16日に発表されたVAIO ZおよびVAIO Z Canvasには、商品の力でVAIOブランドを高めるという同社中核製品に課せられた至上命題への答えを、どのような形で詰め込んだのだろうか。
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