偏差値40台で一流大学に合格する子が続出する訳 大きく変化する入試、セオリーはこう変わった

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この大学入試の変化は、すなわち、大学側が評価する人材の定義が変わってきているということ。言い換えれば、大学入試というゲームのルールが変わったということなのです。

大学入試改革――なぜ変わる? どう変わる?

なぜ、大学入試というゲームのルールが変化しているのでしょうか。背景にあるのは、文部科学省が行っている「高大接続改革」――高校での学び・大学入試・大学での学びを一体化した教育改革です。

文科省は、これからの教育は「1 知識・技能」「2 思考力・判断力・表現力」「3 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」が大切であると考え、これら3つを「学力の3要素」と定義しました。

入試の出題傾向の変化は、まさにこの定義にのっとったものです。この3要素が評価されるような問題が増えた結果、暗記が得意な「ガリ勉タイプ」が落ち、そうではない高校生が上位大学に合格するようになってきたのです。

特に2021年度から導入された大学入学共通テストでは、この傾向が顕著に見られます。

英語では発音や単語などの単純な語彙問題は消滅し、代わりに日常生活で使う英会話が出題されました。国語においては物語と評論の2つの文章を見比べることで答えを見つけるという「メタ認知」を測る問題が出題されました。英語・国語・数学に限らず理科や社会も含めた全般で、「読み取らないといけない文章・グラフ・表」が増え、試験時間が増加しています。

これはつまり、「知識や情報を持っているか」ではなく、「それらを活用して考える力があるか」を評価する形態に変わってきたということ。かつては難関国立大学の2次試験に求められた能力に近いものが、暗記偏重型で有名だった早慶の2次試験においても増加しているのです。実際、2021年に慶應義塾大学で出題され、話題となった、

「あなたが不条理だと思うことについて記載し、どうすればそれを解決できるか論じなさい」

を筆頭に、答えのない問いについて考えさせ、その解決法を表現させる問題が不可避になりつつあるのです。

次ページこの流れは一気に加速
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