会社辞め「フィンランドで寿司職人」34歳彼女の志 魚をさばいた経験なく、触るのも苦手だった

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だがあるとき、突然、急性膵(すい)炎で救急搬送される事態に見舞われた。上司からは「これは神様が休めと言っているサイン」「すべての物事には意味があるから、後からきっと、このとき入院した意味もわかるはず」と励まされたのだが、事実、のちにその言葉どおりとなる。

chikaさんは子どものころから絵や日記を書くのが好きだった。北欧について情報発信するブログは写真とテキストで構成していたが、ときどき“北欧あるある”を簡単な漫画にするときもあった。そこで入院中、たっぷりある時間を使い、ずっと描きたいと思っていたフィンランドの思い出をエッセイ風の漫画にし、SNSへアップしていった。

するとそれを見た出版社の人から声がかかり、やがて初めての著書『マイフィンランドルーティン100』として世に出ることとなった。上司が言ったように、入院のおかげで新しいキャリアが増えたのだ。

「フィンランドに住みたい!」と決めてから13年…

寿司職人養成学校には1年半通い、会社に兼業申請書を提出して週末に寿司店でも働き始めた。大将から厳しい指導を受けたおかげで、養成学校で学んだ知識と技術がさらに磨かれ、着実に力はついていった。そして、いよいよフィンランドのレストランで寿司部門のシェフとして就職が決まり、2022年4月から現地で暮らしている。

フィンランドに持ってきたお寿司づくりの道具(写真:chikaさん提供)

「フィンランドに住みたい!」と決めてから、13年の月日が流れていた。さっさと移住してしまう道もあったのかもしれないが、1社目の会社が突然無くなる経験をしていたため、なかなか思い切れなかった。いつまでたっても夢はかなわないのではないか、と不安になったときもある。

しかし、それが自分のペースだと認め、心配な点を1つずつクリアにしながら、飛び立つ準備をした。その間、中国赴任や入院もしたが、「回り道もすべて人生に織り込みながら、ゆっくり夢に向き合ってきました」。そのおかげで、北欧・人材系の会社で働いた経験・漫画・寿司職人と、chikaさんにしかできないキャリアの掛け合わせが作られていった。

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