会社辞め「フィンランドで寿司職人」34歳彼女の志 魚をさばいた経験なく、触るのも苦手だった

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自身の歩みをつづり、『北欧こじらせ日記』として出版した著書のタイトルは、「北欧が好きすぎて、キャリアや人生を変えてしまった」自分をちょっと自虐的に表現した。

「わざわざ大変な道を歩まなくても、普通に暮らしていけるだろうに、生きるのが下手だなと思いました。でも飽き性の私がこんなにも長い間、好きでいられたものを大事にしたかったし、人生の終わりに後悔だけはしたくなかった」

フィンランドで借りたサマーコテージで撮影。夏なので日が長く、これで23時ごろ(写真:chikaさん提供)

フィンランドの暮らしをゆっくり見つめたい

何度も通い、友人もいるフィンランドだったが、いざ暮らし始めると、まだまだ予想外のことは起きた。けれどchikaさんのモットーは「準備はネガティブに、やるときはポジティブに」。きっと大変なこともある、と覚悟し、できる限りの準備をしていたおかげで、想定外のことが起きても落ち着いて、次の一歩を踏み出せている。

フィンランド最北端にあるラップランドの朝(写真:chikaさん提供)

間もなく移住して1年。仕事が中心の忙しい日々を送ってきたが、周囲のフィンランド人たちが人生を自分でデザインするように、仕事や暮らし方を選んでいる姿に感化され、自身もこれからは少しアクセルをゆるめ、フィンランドの暮らしをゆっくり見つめたいと考えている。

北欧こじらせ日記』『北欧こじらせ日記 移住決定編』(世界文化社)。書名をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「夢をかなえるまでに時間はかかりましたが、支えになったのは45歳で寿司職人養成学校に入り、50歳でフィンランドに移住し、開業した先輩の存在でした。何歳でも新人になれるし、遅いなんてことはない。そう考えればこれからの人生、何歳になってもあきらめず、新しいことに挑戦できる気がしています」

ある日、お客さんから「こんなにおいしいお寿司を食べたのは初めてだ。フィンランドに来てくれてありがとう」と握手を求められた。それまではフィンランドに「お邪魔させてもらってすみません」と恐縮する気持ちもあったが、その一言で「私、ここにいていいんだ」と心が楽になった。

「この国に住みたい」という純粋な気持ちから始まったストーリー。現実に今、フィンランドで地に足を付けて暮らしているchikaさんの存在がすべてを物語っている。

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吉岡 名保恵 ライター/エディター

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よしおか なおえ / Naoe Yoshioka

1975年和歌山県生まれ。同志社大学を卒業後、地方紙記者を経て現在はフリーのライター/エディターとして活動。2023年から東洋経済オンライン編集部に所属。大学時代にグライダー(滑空機)を始め、(公社)日本滑空協会の機関誌で編集長も務めている。

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