自身の歩みをつづり、『北欧こじらせ日記』として出版した著書のタイトルは、「北欧が好きすぎて、キャリアや人生を変えてしまった」自分をちょっと自虐的に表現した。
「わざわざ大変な道を歩まなくても、普通に暮らしていけるだろうに、生きるのが下手だなと思いました。でも飽き性の私がこんなにも長い間、好きでいられたものを大事にしたかったし、人生の終わりに後悔だけはしたくなかった」
フィンランドの暮らしをゆっくり見つめたい
何度も通い、友人もいるフィンランドだったが、いざ暮らし始めると、まだまだ予想外のことは起きた。けれどchikaさんのモットーは「準備はネガティブに、やるときはポジティブに」。きっと大変なこともある、と覚悟し、できる限りの準備をしていたおかげで、想定外のことが起きても落ち着いて、次の一歩を踏み出せている。
間もなく移住して1年。仕事が中心の忙しい日々を送ってきたが、周囲のフィンランド人たちが人生を自分でデザインするように、仕事や暮らし方を選んでいる姿に感化され、自身もこれからは少しアクセルをゆるめ、フィンランドの暮らしをゆっくり見つめたいと考えている。
「夢をかなえるまでに時間はかかりましたが、支えになったのは45歳で寿司職人養成学校に入り、50歳でフィンランドに移住し、開業した先輩の存在でした。何歳でも新人になれるし、遅いなんてことはない。そう考えればこれからの人生、何歳になってもあきらめず、新しいことに挑戦できる気がしています」
ある日、お客さんから「こんなにおいしいお寿司を食べたのは初めてだ。フィンランドに来てくれてありがとう」と握手を求められた。それまではフィンランドに「お邪魔させてもらってすみません」と恐縮する気持ちもあったが、その一言で「私、ここにいていいんだ」と心が楽になった。
「この国に住みたい」という純粋な気持ちから始まったストーリー。現実に今、フィンランドで地に足を付けて暮らしているchikaさんの存在がすべてを物語っている。
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