思いがけず働き始めた会社だったが、社員の夢を応援してくれる雰囲気があった。「今思っても、この会社で学んだことが自分を変えてくれた気がしています」。
例えば「強みで、弱みを凌駕(りょうが)してもいいんだよ」、これは面談で上司からかけられた言葉だ。それまでのchikaさんは、興味を持ったらすぐ飛びつくものの、最後までやり切れないのが自分の弱さだと捉えていた。
しかし上司は、chikaさんの強みである「すぐやる」行動力を伸ばせば、弱みを克服できる、とアドバイスをくれた。「長距離走が苦手なら、短距離走をたくさん走って距離を伸ばしていけばいい」。それからは自分で短いスパンの期限を設定し、ゴールテープを切り続けることで達成感とともに成果を出せるようになった。
「フィンランドに移住してお店を持ちたい」
しばらくは仕事に夢中で、北欧のことは封印していた。しかし契約期間終了後の身の振り方を考えなければいけない。
そこで自分の興味や関心を改めて書き出していくと「北欧ブログ」「北欧カフェ」「北欧イベント」「北欧雑貨バイヤー」など出るものすべてが北欧関連。そうであれば「週末だけカフェ修行をする」「まずはブログを開設する」など、無理のない範囲で実行に移そうと考えた。
ここでも功を奏したのが、持ち前のすぐやる行動力と、とりあえず1カ月といった短距離走的な取り組み方。やってみると向き・不向きが見えてきて、目指す夢の方向性が定まっていった。
中でもカフェ修行では、こだわりを持って店を営むオーナーから多くを学んだ。最初は国内で“まさに北欧”のようなカフェを開きたかったのだが、オーナーのように覚悟を持って取り組むなら、いっそフィンランドに移住してお店を持ちたい、と考えるようになった。
そこで、まずはフィンランドで働く道を模索し、求人サイトを検索。だが、文系のキャリアでフィンランド語ができず、英語も中級程度だったchikaさんが就労ビザを得て働くのは難しそうだった。では日本人だから優遇される仕事はないだろうか。
探してみると、日本人寿司職人の求人が見つかった。しかもスキル重視で語学力は問わない、という求人もあり、手に職をつける強みを知る。最初は自分でも無謀だと思ったが、数カ月で卒業できる寿司職人養成コースの存在を知り、夢の道筋が見えた気がした。
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