キャリアアップしながら気づいていた違和感
尾石さんは新卒で2004年、外資系企業に就職。仕事は楽しく、異動や転勤のたびに新しいスキルを身につけながら、キャリアアップを実現してきた。28歳で結婚した後も30代で管理職になり、充実した職業人生を歩んできた。
風向きが少し変わったのは、31歳で長男を産んだあとだった。長男が1歳1カ月で職場復帰をするものの、夫は多忙で実家も遠く、平日はフルタイム勤務+“ワンオペ育児”の日々が始まった。
会社は福利厚生が手厚い“ホワイト企業”だったが、長時間労働は常態化。保育園のお迎えがある尾石さんは、限られた時間で最大限のパフォーマンスを発揮できるよう業務内容を見直し、徹底的に効率化をはかった。
また、家庭では外注できるサービスや便利家電を導入し、時間を有効に使えるよう工夫に工夫を重ねた。結果、生産性の高い仕事ぶりに評価が高まり、別の部署で再び管理職に就けることとなった。
仕事も家庭も回り出したように見えた反面、心のどこかでは薄々気づき始めていた。このままスーパーウーマンのように会社で用意された女性の管理職登用の道を歩んでいくのが自分の幸せになるのだろうか。そして後に続く女性たちのためになるのだろうか、と。
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