ストレスは「発散するだけ」では不調が続く理由 「溜まる→発散する」という行動パターンは危険

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ノートとペンを用意したら、そのときにあなたの心に浮かんだ感情や思考を片っ端から書き殴っていきましょう。このときに大切なことは、どんなネガティブで暗い感情も、怒りや嫉妬といった他人には見せたくない想いも、躊躇せずに書き出していくことです。

実際にやってみるとわかるのですが、初日から数日間は、泣き言、怒り、愚痴、無力感、嫉妬などのネガティブな思考や感情が爆発するように出てきます。これは、今まであなたが「出してはいけない、なかったことにしよう」と頭や心の中に閉じ込めてきた思考や感情がダダ漏れになっている状態です。

我々はネガティブな思考や感情はあってはいけない、常に前向きにポジティブに生きなければいけない、と思い込まされています。しかし、感情には良いも悪いもなく、ただそこに存在しているものです。もちろん怒りに任せて他人を攻撃したり、人に迷惑をかけるような行為をすることは避けるべきです。でも、怒りの感情をなかったことにしようとしても、現実としてあなたの心の中にはあるのですから、とうてい無理なのです。

感情や思考が解決可能な「課題」へと変化する

我々は日々さまざまな課題に追われ、それらを論理的に組み立てて解決したいと願っています。しかし、怒りや嘆き、無力感などの感情が渦巻いていると、クリアな思考でものごとを整理することができず、ただ混乱してしまいます。

そこで、毎朝20分程度マインドダンプを繰り返します。すると、それらの渦巻いていた思考や感情が自分の中からノートに吐き出されて分離していくのです。

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思考や感情は自分の中にあるときはモヤモヤと形を持たず浮かんでは消え、消えては浮かぶを繰り返しています。それらを書き出すことで、曖昧だった思考や感情は「言語化」され、「具体化」されることになります。「具体化」された感情や思考は、解決可能な「課題」へと変化していきます。

ノートに書き出され、「課題」になった感情や思考を眺めていると、我々は自然と「どうやったら解決できるか」と考え始め、それはやがて実際に解決されていくのです。

1週間くらい経つと、ネガティブな吐き出しが少なくなり、より建設的な「課題」や「夢」「野心」などが顔を出してくるでしょう。パンパンに詰まっていたネガティブな想いが吐き出されたことで、脳にスペースができ、そのスペースにクリエイティブなアイデアが浮かび始めるのです。

そのまま毎朝の習慣にすることで、あなたはクリアな思考を持ち、行動できるように変容していくことでしょう。

立花 岳志 習慣化コンサルタント

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たちばな たけし / Tachibana Takeshi

習慣化・ひとりビジネス・情報発信コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー/あまてらす株式会社 代表取締役。ブログ「No Second Life」は月間165万PV、年間1000万PVを記録している。体重105キロの肥満体から40歳で27キロのダイエットに成功し、フルマラソン5回完走。以降、運動や食事・栄養、睡眠など「本当に身体に良い習慣」を追求し、習慣化コンサルタントとして多くの人をサポートし続けている。 また、自身の度重なる燃え尽き体験から実践的心理療法を学び、心理カウンセラーとしても活動。

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