「失敗をセレブレートする」ことから始めよう つまずくのが怖い若者たちよ、大胆になれ!

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松岡:Yohanaは使う人を問いませんが、サービスの設計じたいは〝女性目線〟で作られています。現実として一番苦労しているのが女性だからです。彼女たちの困りごとを解決することが、社会全体も益することになると考えています。

世の中には「男性が作ったな」と思うモノやサービスだらけです。たとえば講演のとき、男性はマイクの器具をポケットに入れられるけれど、ドレス姿の女性は「下着に挟んでください」「背中にテープでとめて下さい」と言われたりする(笑)。私も何度も困りました。アメリカでいろんな経験をしてきた女性という自分のユニークなポジションで、社会にユニークな貢献ができたら嬉しいですね。

反論できる人を採用する

山田:ダイバーシティに関していうと、創業時のメルカリは「ゼロ」の状態でしたが、エンジニアを1000人規模にしようと真剣に考えたとき、世界に目を向けました。というか、グローバル採用しないと間に合わなかった。ダイバーシティを取り入れると、いろんな意見が出るようになりますし、企業としての競争力になります。

山田 進太郎(やまだ しんたろう)/1977年愛知県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。大学在学中、楽天でインターンとして「楽天オークション」の立ち上げに携わる。卒業後にウノウを設立し、ウェブサイトの企画運営やソーシャルゲームなどを展開する。2010年ウノウをアメリカ・シンガに売却、2012年にシンガジャパンを退社し、2013年にメルカリを創業。フリマアプリ「メルカリ」を展開し、2018年には東証マザーズに上場を果たす(2022年東証プライム市場に昇格)。 2021年山田進太郎D&I財団を設立、2022年に公益法人化(撮影:梅谷秀司)

松岡:アメリカは人種、民族、宗教はさまざまですが、ダイバーシティは肌の色の違いとかではなく、違う考え方をする人がいることだと思います。だから新たに採用するなら、「そうじゃない」と反対意見も述べられる人がいい。

自分と似た人を雇うのは簡単だけれど、全部が「Yes、Yes」では意味がないんです。違う個性の人をあちこちから探してくることは、日本のYohanaでも始めています。

山田:違う意見があるのは大事ですね。メルカリでも外国人がはっきり主張する。日本人だけでは気づかない視点があって、プロダクトの改善につながりました。顧客も多様化している時代に、「日本人男性だけで、世界で通用するものが作れるのか?」といえば、絶対にできないでしょう。

松岡:ただ、Yohanaでもアメリカのオフィスでチームに何かを頼むと「そんなの無駄だからやりません」という反論から始まることもありますからね。日本のチームだと「はい、わかりました」と物事がテキパキ進むので、その点はアメリカに持ち帰りたいかも(笑)。

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