実は人間臭い「太宰治」鮭缶に味の素かけまくる訳 生涯の友人である山岸外史が見た文豪の素顔

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太宰治
青森県五所川原市にある太宰治の像(写真:髙橋義雄/PIXTA)
学校の授業では教えてもらえない名著の面白さに迫る連載『明日の仕事に役立つ 教養としての「名著」』(毎週木曜日配信)の第24回は、味の素が大好きだった人間味あふれる文豪・太宰治の素顔に迫ります。
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少女趣味?同人誌のタイトルに『青い花』とつけた太宰

女性にやたらモテて、女性と心中も計った文豪として有名な男・太宰治。だが彼は意外にも男性同士の関係も深かった。男性文学者のなかでとくに関係が深いのは、評論家・山岸外史だろう。

そもそも交友のきっかけは、同人誌だった。当時は自分たちで集まって雑誌を作るのがエリート文学青年たちの間で流行っていた。太宰治も例に漏れずそのひとり。東大生だった太宰は、友人と一緒に『青い花』という同人誌を作ろうとする。

……考えてみてほしい。『青い花』ですよ、『青い花』。少女漫画もびっくりの乙女ちっくタイトルではないだろうか。そのタイトルを聞いた山岸外史にとっては「ドイツ・ロマン派詩人のノヴァーリスの『青い花』から採用したのか!」とぴんときたらしい。

だが、太宰の同人誌仲間は「ええ~、少女趣味すぎない~?」とわりと不評だったらしい。実際、山岸外史にそのタイトルを伝えた中村地平は、「しかし、『青い花』なんて題では、どうにも気ののらないところがあるのですがね。少女趣味を感じませんか」(山岸外史『人間太宰治』ちくま文庫より引用、1989年)と文句を述べていたらしい。

だがむしろそのタイトルにきゅんとしたらしい山岸は、「中村君、この名は少女趣味ではないのですよ。君に、それがわからんかね」という説教をした後、太宰にいますぐ会いたいから住所と地図を書いてくれと頼む。これが山岸と太宰の出会いであった。

太宰はこのときのことを以下のように回想している。Hとは太宰の内縁の妻である初代のことである。

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