受験生のバイブル、漫画『あさきゆめみし』
紫式部のつづった大長編恋愛物語『源氏物語』とは、実際にはどんな話だったのだろうか。『源氏物語』、知ってるぞ、読んだことあるぞと言う人のなかには、実は「少女漫画の『あさきゆめみし』を全部読んで理解した方」も多いのではないだろうか。
『あさきゆめみし』は、大和和紀が『源氏物語』を描いた少女漫画である。大長編『源氏物語』54帖を漫画では単行本全13巻に収めきり、現在は累計発行部数1800万部にも及ぶという。ダイジェスト版ではあるが、かなり『源氏物語』を原文のイメージに忠実に漫画にしているので、いまだに古典の勉強と称して『あさきゆめみし』を読む受験生も多いらしい。かく言う私もその1人だ。
ちなみに大和和紀は大学の先生から「『あさきゆめみし』が連載されてから、学生たちの『源氏物語』理解が格段に上がったんですよ」と言われたこともあるらしい……。
しかしこの『あさきゆめみし』。よくできた漫画であるがゆえに、これが『源氏物語』なんだと思い込んで、原文を読んでみると、「あれ?」と思うことが多くなってしまう。実はさまざまな場面を加えたり削ったりしながら『あさきゆめみし』はできている。そう、原文『源氏物語』の穴をうまく埋めているのだ。
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