「生涯独身」を覚悟した58歳彼女が電撃婚したワケ 「バツ3」の彼が"大量の荷物"とともにやってきた!

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「友だちができても長続きしない傾向がありました。コーチングを受講したときにその原因がわかったんです。僕は子どもの頃に転校が多くて寂しい思いをしていたのに、それを言葉にしてこなかった。だから、『この人とはどれぐらい長く付き合えるんだろう』と関係の終わりを思う癖がついてしまったのです。今は、『どうやったら長く付き合えるんだろう』に変えるようにしています」

コーチングの成果だけでなく、3回の離婚への反省が身に染みているのかもしれない。最後の離婚から10年間は一人暮らしをしていたが、住んでいた賃貸マンションの建て替えをきっかけにして明子さんのマンションに引っ越すことにした。面倒見がいい明子さんに素直に甘えているのだ。ただし、同居を誘ったのは明子さんのほうだったという。

「母の介護でしばらく働けないので収入がなくなります。ローンも残っているので彼から家賃をもらえるのはありがたいです。Win-Winだと思いました」

平穏な空間を乱す、淳平さんの膨大な荷物

予想外だったのは淳平さんが趣味人でもあったことだ。愛用の楽器や愛読書がたくさんあり、それを明子さんの家に持ち込んだので、長い間をかけて築き上げた小さく平穏な空間が乱されてしまった。

「でも、僕は洋服が少ないほうですよ。会社勤めなのにスーツは4着しかありませんし。生活習慣にしても、まだ彼女の中で僕のルールが馴染んでいないだけだと思っています。例えば、アイロンをかけなくていい洗濯物は干して吊るしておけば、いつでもパッととって着られます。畳んで収納する必要はありません。ここは彼女の家なので、できるだけ合わせようと努力はしていますけど」

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口数が全く減らない淳平さん。明子さんもあきらめ顔で「あれこれ言い過ぎる私が悪い、ということだよね」と笑ってやり過ごしている。惚れた弱み、なのかもしれない。音楽好きな淳平さんも明子さんの「声のトーンと楽しげな感情表現に魅力を感じる」と告白。事実婚ではなく、法律婚を望んでいる。

「どちらかが大病したときなどに(法律婚でないと)不都合があるからです。あと、僕はこれから財産ができると思うので、それを彼女に遺してあげたいですねー」

どこまでも軽い調子の淳平さん。今のところは彼を面白がりながら受け入れている明子さん。その共同生活が落ち着くまでにはもう少し時間がかかりそうだ。彼らがお互いを「心の支え」だとしみじみと感じる日が来ることを願わずにはいられない。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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