自分は『次の部屋への出口』を探し出すためにつねにガムシャラに生き続けたいのですが、前妻は『もう安定してやっていけるのだから、そんなに頑張らなくてもいいじゃん』という考え方なんですよね。日々成長を続けたいという、僕の生き方についていくのが、嫌になったのでしょうね」
理解はしたいが、なかなかその生き方には共感してもらいにくそうな高瀬さん。奨学金についても、普段本連載でよく出てくる「借金」という捉え方はせずに、「融資」と考えている。
「学生時代に1000万円借りているというのは、なかなかヤバいことだとは認識していました。『これは死ぬ気でやらないと……』という気持ちにさせられます。その奨学金で当初は科学者になりたいと思っていましたが、残念ながら研究結果を出せずに断念せざるをえませんでした。同時に科学者はなかなか稼げずに、大発見をしたところで、この世界はさほど変わらないということも思い知りました。
それであれば、『世の中にインパクトを与えられるような仕事がしたい』と思うようになり、シンクタンクを経てコンサルティング会社に入ったわけです。やっぱり『チャレンジしたい』『社会にインパクトを与えたい』という気持ちがつねに先行している気がして、これは昔からそうではなく、年を追うごとにこのような考え方になったのだと思います」
現在の奨学金制度に抱く「本音」
だからこそ、現在の奨学金制度には一家言あるようだ。
「以前、JASSOの就職セミナーのサイトを見たところ、大学の講師が受け持っているものがほとんどで、それではいけないと思ったんですよ。というのも、これは私自身がかつて研究者を目指していたからこそわかることですが、多くの大学講師はお金がなくて苦しんでいますし、教授になれたとしても、キャリアについて教えられることは少ない気がするんです。
むしろ、日本には外資系のコンサル企業、投資銀行、グローバルビジネス最前線にいるような、年収何千万・何億円という社会人が実はたくさん存在するため、そういった者たちが就職のアドバイスをしたほうが、学生の学びになる、視野を広げられると思うんですよね。
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