「奨学金960万円」39歳彼が選んだ激し過ぎる人生 「上を見てもキリがないが下を見てもキリがない」

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例えば、奨学金を借りている学生たちは、こうした社会人たちとの面談を義務化するとか。奨学金を借りている学生たちは、彼らから『キャリアアップと奨学金返済を両立するポイント』を学ぶことができるし、社会人にしてみれば、優秀な学生を採用することができるリクルーティング活動の場所を提供することにもつながります。

即物的な提案かもしれませんが、大人たちが何も解決策を出せないまま、返済にあえぐ学生をひたすら増やすよりは、こうした取り組みを行ったほうが、貸し倒れのリスクも減るでしょう」

学生に今一度考えてもらいたい、奨学金の「意義」

そして、奨学金を借りる学生に語る言葉も、熱を帯びている。

奨学金、借りたら人生こうなった (扶桑社新書)
本連載が書籍になりました。珠玉のライフストーリー14編を抜粋のほか、書き下ろし約100ページでお届けします(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。アマゾンはこちら。楽天サイトはこちら

「『奨学金を借りたら大変なことになった』という声をよく聞きますが、それは奨学金のせいではなく、その人自身がどのようにキャリアを形成していくべきかという、『出口戦略』が甘かったのではないかと思います。

そもそも奨学金というのは『頑張って出世して返すもの』なので、借りている以上は相応の努力をするべき。『お金がないから借りよう』ではなく、『将来ビッグになるために借りよう』というのが正しい考え方だと思うんです。

国も、債務者をたくさん生み出すために緩い審査で若者にお金を貸しているわけではないでしょうしね。奨学金を貸す側も将来を担う若者をたくさん輩出したいから、気前よくバンバンお金を出しているわけなので、借りている側もやっぱり奨学金の『意義』というのは今一度考えてもらいたいです」

奨学金の捉え方はさまざまだ。「福祉」か「投資」か、はたまた「借金」か「融資」かで語る言葉の温度は大きく変わる。この連載では多くの返済当事者の声をありのままに紹介しているが、高瀬さんはなかなかストイックな部類と言えるだろう。

しかし、さまざまな逆境を努力ではねのけてきた高瀬さんの言葉に、そうとうな強度を感じさせられたのも事実だった。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の現役の学生の方からの応募や、大学で奨学金に関する業務に関わっていた方からの取材依頼も歓迎します。
千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。

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