六角精児「思ったことを覆されにいくのが、社会」 「じゃあ自分が何をするか、それが底力につながる」

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(写真:平郡政宏) 

できる限り真摯な態度で、自分なりの力で懸命にやった

── 初めに芝居は特に興味があったわけではなかったと仰っていました。

六角:そう。決して好きではないんです。それでも舞台ってものに対しては、できる限り真摯な態度であり続けたと思います。自分なりの力で懸命にやった、それだけです。だから借金で潰れかかっていた時も、周りの人たちはそこまで酷かったとは思っていなかったのかもしれない、芝居の稽古も休まず出てくるし。

自分がやってきたことが結果につながるとしても10年後だったりするので、その時点では誰にも将来なんてわからないんですよ。だから苦しい時でもやれるだけのことはしておいた方がいい。そうしたら悔いがないから。

── やれることをやっておくことが大事なんですね。

六角:それは、ご縁だから。若いうちにやっていたことがご縁になって、30代後半ぐらいから「相棒」に出させてもらったりとか、色んなお芝居の依頼が来始めたんです。それでもその時はまだ大きな借金があって大変でしたけど、借り入れは一切しないで返済しかしないって決めて。

人間そんなにちゃんとできていないから、返すってことだけに集中して何年間かやっていかないとダメなんです。特に僕みたいな人間は。これね、当たり前のこと言いますけど、お金って借りる時より、返す時の方がものすごく大変です。だから全部返し終わった時に、なんか「ざまあみろ」って思った(笑)。

── ワハハ、何に対してでしょうね。

六角:なんだろう、自分に対してかもしれないね。その時から物事が変わってきたというか、同じことをしているのに仕事でも何だかちゃんと認められるようになって。そこから何かが開き始めました。

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