木村拓哉の「教場」に原作ファンが違和感抱く訳 主人公「風間公親」はハマり役だったのか?
昨年と今年の正月に放送されたフジテレビのドラマ『教場』『教場Ⅱ』。長岡弘樹の小説が原作で、警察学校が舞台。異種の学園モノかと思いきや、きっちり警察ミステリかつ苦い青春群像劇。
私自身はそこそこ楽しんだが、原作をこよなく愛する編集者のひとりが「違和感しかない」と憤る。原稿にするならば、原作との違いや違和感の根源はつかんでおかねばなるまい。
ということで、読んでみた。『教場』『教場2』『教場0』そして『風間教場』の4冊を。
面白かった。ページをめくる手が止まらず。私の「教場に対する思い」が固まったので、まとめてみる。
原作のエピソードに忠実だった2020年版
若者が警察官になるべく、厳しい訓練を受ける設定なので、基本的には若手俳優の活躍の場になる。しかも『教場』では規律や心得を学ぶ以前に、人としての倫理観や警察官としての素質を徹底して「篩(ふるい)」にかけられるのが特徴。
学生の前に立ちはだかるのは、「風間公親」という元刑事で義眼の教官だ。嘘をつく者、罪の意識が欠如した者、偏った思想の者を看破し、容赦なく退校届を突き付ける。
「警察官の制服を着せてはいけない人材」というのは、ドラマでも重要な役割だ。そこに配置された実力派の若手俳優は強く印象に残った。
2020年版で記憶に残ったのは、林遣都と井之脇海。林が演じたのは、劣等感と嫉妬から凶行に及ぶ平田和道という学生。この無理心中に巻き込まれたのは、工藤阿須加演じる優しい優等生の宮坂定だ。
林の父は警察官(演じたのは光石研)で、工藤の命の恩人という設定。非常に複雑な心情だが、林は工藤に対する悪意の形成の過程を不穏な表情で見事に演じた。
また、警察官の志望動機が不純な「銃マニア」の南原哲久を演じた井之脇も、工藤を陥れて改造銃を作っていた事実を隠蔽しようと目論む。嘘をついて人を陥れる天性の「罪悪感の欠如」をさらりと演じた。
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