木村拓哉の「教場」に原作ファンが違和感抱く訳 主人公「風間公親」はハマり役だったのか?
女性キャスト増量にも違和感を覚えた人がいたようだが、私自身はジェンダーギャップに配慮した苦肉の策であり、悪くはなかったと思う。「男だけの俺たちの物語」には批判がつきものだから。つうか、私が批判するからな。
ただし、数を増やせばいいってもんじゃない。原作における重要な役から女性を外して、妙な添え物にしたてあげて誤魔化そうとする魂胆はバレるもの。
原作では、平優羽子は風間公親が義眼になった背景にかかわった人物でもある。警察官の来し方行く末の一例を担い、風間公親の文字通り手となり足となる重要な設定だっただけに、ドラマで違う形になってしまったのは残念に思う。
いろいろと見えたこともある。2021年版のラストシーンは、今後の続編は原作からより一層離れていく前触れでもある。なんというか、言い換えるなら「フジテレビ臭」が強まりそうな嫌な予感。
明石家さんまがワンシーンだけ登場したのも、いかにもフジテレビ的で蛇足にしか映らず。原作ファンを怒らせるのが実にうまい。
「最大の違和感」の正体
さて、最大の違和感について考えてみる。「主人公・風間公親ははたしてキムタクでよかったのか」問題だ。
冒頭で違和感を訴えた編集者は、「今となってはかなわないが、根津甚八のような俳優にやってほしかった」という。私は「元・切れ者刑事、白髪・義眼、身の毛もよだつ冷酷無比な鬼教官」というキャッチフレーズから安田顕を想像した。「義眼がわかりやすいよう、目は大きめ」「元刑事で凄絶な背景を抱えた憂いを醸し出せる」40代以上の俳優と思ったから。
ただし、驚異的な数字だけは誇るキムタクだからこその恩恵も大きい。2020年版の視聴率は前編15.3%、後編15.0%。2021年版は前編13.5%、後編13.2%とやや落ちた形になったものの、御の字ではなかろうか。
「何をやってもキムタク」と言われてきたが、この役は白髪&義眼というコスプレもあって、確かに「キムタク臭」が抑えめだ。威厳より不機嫌の要素が強いが、そもそも「教場」は学生たちの心情が主軸であり、物語の根幹となる。そちらの演技力のほうが重要と割り切れば、さほど気にならないのでは。
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