世界的に普及が進みつつある電気自動車(EV)。国内でもEV乗用車の台数が徐々に増える中、バスの世界でも「EVバス」に注目が集まっている。すでに各地で運行している海外メーカー製に加えて国内メーカー製の車両も増えつつあり、今年3月1日には東京・渋谷のコミュニティバスでも運行を開始した。バス業界は今年2023年を「EVバス導入元年」と位置付ける。
一方で、2月中旬には中国の大手メーカー、BYD製のEVバスに日本自動車工業会が自主規制で使用を禁止している化学物質が使われていたことが判明。今春に営業運転や試験走行を始める予定だったバスの運行開始延期や、すでに運行していた車両を運休する事例も出ている。
「ハチ公バス」に国内メーカー製
東京・渋谷区が運行するコミュニティバス「ハチ公バス」。渋谷区役所や渋谷駅などを拠点とする4ルートがあり、キャラクター化された「ハチ公」のイラストを描いたカラフルな塗装の小型バスが走っている。
そのハチ公バスの路線の1つ、渋谷駅から明治神宮・千駄ケ谷などを経て再び渋谷駅に至る「神宮の杜(もり)ルート」で、3月1日からEVバス2台の運行が始まった。
国内で運行中のEVバスは電気自動車先進国の中国メーカー製車両が目立つ中、ハチ公バスに導入されたのは福岡県に本社を置く「EVモーターズ・ジャパン」製のEVバス「F8 シリーズ4-ミニバス」。車体全長6.99m、定員29人のコミュニティバス向け小型車だ。”世界最高クラスの低消費電力システム”を搭載し、条件によるが1回の充電で走れる航続距離は290km。導入コストは1台約2600万円という。
運行を担当する東急バスの古川卓社長によると、1日の走行距離は120km程度の想定で、充電は1回で足りるため夜間に営業所で行う。EVモーターズ・ジャパンの車両を選択した理由は「走行距離が長く『電費』がいいという点が大きい」と担当者はいう。
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