「初代ヴィッツ」小型ハッチバックの宿命と葛藤 現在でもヤリスとして継続、その原点に迫る

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3代目ヴィッツ
2010年12月に登場した3代目ヴィッツ(写真:トヨタ自動車)

3代目になると、外観を大きく変え、新しさを求めたが、小さいというよさが、わかりにくくなってきた。発売から4年を経てハイブリッド車が追加されるなど、時代への適応も行われたが、同様の小型ハッチバック車として、ハイブリッド専用車種の「アクア」が2011年に発売されており、ハイブリッド化の対応が遅れたことは否めない。ちなみに海外に目を移すと、アクアではなくヤリスにハイブリッド車の設定を先に行っていた。

ヤリス
2020年2月10日に発売された現行モデルのヤリス。ヴィッツから数えると4代目となる(写真:トヨタ自動車)

この時期、ヴィッツをどのようにしていくか、トヨタ社内でも迷いがあったのではないか。そして、2020年に登場した4代目にあたるのがヤリスだ。国内でもヴィッツからヤリスに車名を変更し、現在も販売される小型ハッチバック車となる。ヤリスの外観は、初代ヴィッツを思わせる小さくて俊敏な走りを想像させ、国内販売は好調だ。

初代の魅力を維持する難しさ

2002初代ヴィッツ
2002年のマイナーチェンジでは、コンパクト車用に新開発したSuper CVT(トルクコンバーター付無段変速機)に加え、一部グレードでは新開発1.3リットル(2SZ-FE)エンジンも搭載(写真:トヨタ自動車)

ヴィッツの前身にあたるスターレットも、初代は思いのこもった小型車だった。ヴィッツも、初代は小ささのなかに魅力を凝縮した価値を求めていた。そして今日の初代(国内向けとしての)ヤリスに続く。

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小型車は、自動車メーカーにとって販売台数を稼ぐことを目指さなければならない車種であり、廉価な実用車を提供する必要に迫られる。したがって、小さくても魅力的という価値をなかなか持続しにくい。室内の広さや荷物の積みやすさ、価格の安さへの要求がモデルチェンジのたびに強まり、個性が薄れる宿命にある。それでも心機一転、新たな思いで挑戦を受け入れた初代は、いずれも記憶に残る1台になっているのではないか。

1990年代のクルマはこんなにも熱かった
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御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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