トヨタ「イプサム」3列シートを大衆化した立役者 手頃なサイズ感と7人乗りが新鮮な存在だった

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初代イプサム
最近ではスライドドアが一般的だが、オールヒンジ式4ドアを採用したステーションワゴン的なスタイリングのミニバンとして誕生した初代イプサム(写真:トヨタ自動車)
20~30年以上経った今でも語り継がれるクルマが、続々と自動車メーカーから投入された1990年代。その頃の熱気をつくったクルマたちがそれぞれ生まれた歴史や今に何を残したかの意味を「東洋経済オンライン自動車最前線」の書き手たちが連ねていく連載。

 

今では“当たり前”の3列シートの先駆け的なクルマだった

トヨタ「イプサム」は、1996年に誕生した5ナンバーミニバンだ。

オデッセイ
ミニバンの火付け役となったオデッセイ(写真:本田技研工業)

日本のミニバン人気は、1994年に登場したホンダ「オデッセイ」からはじまる。ただし、オデッセイは、4ドアの「アコード」をもとに開発されており、3ナンバー車となる。5ナンバーの「ステップワゴン」が誕生するのは、イプサムと同じ1996年になってのことだ。

ノア
2001年に登場したトヨタのノア(写真:トヨタ自動車)

トヨタには、現在も人気を誇る5ナンバー(車格)ミニバンの「ノア」がある。しかし、1996年当時は、まだ「タウンエースノア」と名乗り、それまでのワンボックスカーに通じるセミキャブオーバーの形態で、後輪駆動車だった。前輪駆動のノアが登場するのは、2001年になってからとなる。したがって、イプサムは、トヨタにとって前輪駆動を活かした5ナンバーの3列シートミニバンとして、重要な車種であった。

とはいえ、「コロナプレミオ」をもとにした初代の姿は、ミニバンというより、今日でいうクロスオーバー車的な様子で、車高は1.6メートルを超えたが、ボンネットフードはセダンのように長く残り、例えば当時の初代ステップワゴンのようなミニバン専用という姿ではなかった。

このため、3列シートを実現して7人乗りはできたが、室内はやや狭いという印象があった。それでも、ワンボックスカーの流れをくむセミキャブオーバーのタウンエースノアに比べ、イプサムはコロナプレミオをもとにしているだけに運転しやすく、操縦安定性にも優れ、それでいて、従来からのセダンやステーションワゴンに比べ、使い勝手に広がりを感じられる、新時代の車種という魅力があった。

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