「ユーノス・コスモ」何とも圧倒的だった車の軌跡 時代にあえて背を向けるこだわりが詰まっていた

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マツダ「ユーノス・コスモ」
サイズに余裕感のある2ドアクーペスタイルだったマツダ「ユーノス・コスモ」(1990年のタイプS、写真:マツダ)
20~30年以上経った今でも語り継がれるクルマが、続々と自動車メーカーから投入された1990年代。その頃の熱気をつくったクルマたちがそれぞれ生まれた歴史や今に何を残したかの意味を「東洋経済オンライン自動車最前線」の書き手たちが連ねていく連載第3回。

ドイツ車と堂々と渡り合える車が登場

マツダがバブル期に送り込んだ「ユーノス・コスモ」は、圧倒的な製品だった。1990年に高級パーソナルクーペとして発売。パワフルなエンジンと、余裕あるサイズのボディ(全長4815×全幅1795×全高1305mm)。と、さらにぜいたくな内装を特徴とした。

個人的には、ロングフードと小さく見せたキャビンとの組み合わせによるプロポーションが印象的だった。

もうひとつは、Aピラーをいわゆるヒドゥン(隠し)ピラーとした逆カンチレバーというキャビンのデザイン。

一方、リアクオーターピラーはうんと太くしている。「ファミリア」(1989年)や「RX-7」(1991年)など、当時のマツダ系のモデルとも通じるデザインテーマだ。

ユーノス・コスモ タイプS
280psの最高出力と41.0kgmの最大トルクの20Bエンジンは「タイプS」(420万円)と「タイプE」(465万円・写真)に搭載(写真:マツダ)

いっぽう、徒花(あだばな)的なマツダ「ペルソナ」(1898年)の反対をいくデザインともいえる。

ペルソナはスタイリッシュ4ドアハードトップなどとくくられたセンターピラーレスの4ドア車。かなり独自の雰囲気をもつモデルだった。

ところが(個人的意見)、細めのリアクオーターピラーが、繊細というか、少なくとも見た目には頼りない印象を与えていた。

マツダが1989年から展開しはじめた国内5チャネル販売網計画によって誕生したユーノス・ブランドの旗艦として開発されたコスモ。

力強さと、同時に、安心感を与えるグランツアラーである。ドイツ車と堂々と渡り合えると、当時このクルマが発表されたとき、私なんぞは嬉しく思ったほどだ。

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