ユーノス・コスモって、見た目ではエレガンスすら感じさせるけれど、当時の資料には、いまならNGって言われる「男」とか、前記のように「力強さ」なんて言葉が散見されるところがユニークだ。
開発者のこだわりの点では、「私たちは、リニアな乗り味にこだわり、あえてサスペンションにエレクトロニクス技術を一切採用しませんでした」という言葉もあった。
1990年頃といえば、各メーカーがこぞって、サスペンションに電子制御技術を使っていた。マツダだって「センティア」(1991年)に全輪操舵システムを採用するなど例外ではない。
ユーノス・コスモにアイコン的な魅力があって、それがいまも失われていない気がするのは、時代にあえて背を向けるとも思わせる開発者のこだわりが、随所に盛り込まれているからだろう。
質感の高いインテリアは今でも通用する
私見では、そんなマツダ的なクルマづくりは、いまも継続している気がする。
最新のSUV、「CX-60」だって同様だ。凝ったサスペンション設計ばかりか、小排気量化のトレンドに逆行するような、3.3リッターもの排気量がある直列6気筒ディーゼルエンジンを載せている。
ステアリングホイールを動かすときの操舵力がけっこう重いので、開発者にそう感想をもらすと、「これはスポーティなクルマなのでそれでいいんです」と断言されたものだ。
コスモも、似ていた。1991年に300台限定発売された「ルマン総合優勝記念特別仕様車」がいい例だ。
13Bエンジン搭載のタイプSをベースに、「スーパーハードチューンサスペンション」を組み付けるなど、スポーツのほうに引っ張られている印象が強かった。
インテリアはぜいたくで、デザイン的な質感が高い。水平基調のシンプルな造型を生かしたダッシュボードは、2023年発表の新車といっても楽勝で通用するだろう。
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