「ユーノス・コスモ」何とも圧倒的だった車の軌跡 時代にあえて背を向けるこだわりが詰まっていた

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ユーノス・コスモのインテリア、ドアトリム、シート、コンソールなどを一体として設計したのが特徴的
ドアトリム、シート、コンソールなどを一体として設計したインテリアが特徴的(写真:マツダ)

ホイールベースが2750ミリもあったのは、なんでなんだろう。なにしろ、ルマン総合優勝記念特別仕様車のように、走りを強調するのが作り手の本懐だったなら、もっと小回りを利かせてもよかったかもしれない。

キャビンは4人乗りの2プラス2なのだが、後席はポルシェ928程度(ってわかります?)のスペースしかない。そもそもシートの形状を成していない。

「緊張感を解きほぐし心なごむ」というのが、当時のプレスリリースに書かれていたインテリアのテーマなのだが、後席に乗せられたひとは、けっして同意できなかったろう。

13B、20Bともに、グレードは2つ。エレガントさをねらった「タイプE」と、スポーティな「タイプS」がともに設定されていた。

意外といえば意外なことに、こんなスゴい内容なのにコスモは日本市場専用モデル。トータルで8800台が販売された。

881台は現存している

マツダの広報部によると、2022年の時点で、そのうち10分の1の881台が現存しているそうだ。調べているのがすごい。というか、エラい。

なかでも最も売れたのは、20BのタイプE(しかもカーナビの”はしり”といえるCCS装着モデル)だったという。

530万円のトップグレードが最も売れたというのは、バブル経済期だったから、と考えていいのだろうか。

パワーとスポーティな運動性能を堪能させてくれるクルマのコスモはやっぱりジャンルでいえばGTのはず。ドイツ車でいえば、メルセデス・ベンツSクラスのクーペ(SEC)と、ポルシェ928あたりが競合になりえたかもしれない。価格はだいぶ違うけれど。

BMWはコスモ発表と同年の1990年に、すばらしいグランツアラー、「850i」を発表している。SUBARU(当時の社名はスバル)も1991年に水平対向6気筒に全輪駆動システムを組み合わせたクーペ、「SVX」を送りだした。

いま振り返っても、当時は内外の大型クーペがいろいろ出揃って、たいへん楽しい時代だった。

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1990年代のクルマはこんなにも熱かった
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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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