最初の頃は、お互いに相手の顔色ばかりうかがっていたそうですが、「最近ようやくケンカできるようになってきた」といいます。結婚も考えていますが、互いの両親が口を挟んでくることを思うと躊躇もあるそう。「仲の良い夫婦像」がわからず、「夫婦」になることに恐れのようなものもあり、「一生カップルのままでいい」と思うこともあるといいます。
いまの状況はあなたたち「親」が選んだ結果
「こんなはずじゃなかった」と子どもの前で言わないでほしい、いまの状況を嘆かないでほしい――。「親」である人たちに、ミツキさんが言いたいことです。
「それを言われちゃうと、『これまで頑張ってきた私たちの努力は何だったの?』って思ってしまう。母も頑張ってきたんでしょうけど、でもそれと同じくらい私たちも我慢してきた。『じゃあ、どうすればよかったの?』って思う。
それを言うのは『こうやって生きていこう』と選択をしたときのあなたにも失礼だし、それに付いていかざるをえなかった私たちにも失礼だよって。いまの状況は、あなたたち『親』が選んだ、自分の選択の行き着いた結果なんだよ、って思います」
再婚を考える親には「子どもの味方でいることを肝に銘じてほしい」とも、彼女は言います。
「そういう選択をしたなら責任をもってほしい。親には相談できるパートナーがいるけど、子どもたちには、その親しかいないんです。本当に『しかいない』んですよ。子どもが一番弱いんだということをちゃんとわかって、子どもを第一にしてあげてほしい。過激なことを言えば、『子どもがいて離婚した場合は、どっちも再婚するな』って思います」
子どもがいたら再婚するな、という言葉は、親の再婚で苦しんだ経験がある人たちから、これまでも何度か言われたことがあります。それが正味の、本音なのでしょう。
ミツキさんのなかには、抑え込んだ感情もまだまだあるようです。自分が得られなかったものを「ふつう」に得ている人などを見ると、妬ましさから殺意が湧くこともあるといいます。
「もちろん実際にはやりませんけど。車を運転していて『歩道に突っ込んでやろうか』と考えている自分に気づいて、怖くなることもあります。
最近は減っていますが、いまでも(性虐待の)フラッシュバックはあります。叫んで飛び起きて、窓から逃げようとしていたときもあったみたいですし。自分の好きな人でも、身体が拒否してしまう。この傷とは一生付き合っていかなくちゃいけないんです。『家を出られたから終わり』じゃなくて、そのあとも続く」
ミツキさんはこれからも、痛みとともに生きていかなければなりません。
われわれ大人は、親たちは、考えなければいけないことがたくさんあるでしょう。
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