小3の頃には、継父に後頭部を掴まれ、階段におでこを叩きつけられたこともありました。ピタピタと滴る血と、パニックになる母親を、冷静に眺めている自分。それはまるで「自分のことではないような記憶」だといいます。継父は、自分の実子である弟や妹たちのことは、いつも甘やかしていました。
何かにつけ、母から実父の悪口を聞かされるのも辛いことでした。あんなことや、こんなことをされて、本当に嫌だった、殺したいほど大嫌いだ――。当時は「お母さんがかわいそう」と必死で慰め、いっしょになって実父を悪く言っていたのですが、どこかに違和感もありました。
「『私の半分は、この人にとって殺したいほど大嫌いな人(実父)なんだ』と思ったら、『ああ、私は生きてちゃいけないのかな』って。私のなかでは、私さえいなければ、家庭のいろんな問題はなかったって思うんです。存在悪というか、生きてちゃいけない人間ってやっぱり存在するんだ、と私は思っていて」
己のルーツを否定され続けた彼女が、自分を「存在悪」とまで思わされてしまったことに、とても悔しいような、悲しみを感じます。
ただ信じて、味方になってほしかった
中学3年の冬のことでした。日付も覚えています。自室がないため、リビングで受験勉強をしていたミツキさんの前に現れた継父が「今から自分とエッチできるか」などと突然言い出し、恐ろしい顔で迫ってきたのです。気持ちの悪いキスをされ、いまでもパートナーとキスをするときに思い出してしまうのが苦しい、といいます。
夜、ベッドに忍び込まれたことも何度もありました。継父からは「弟たちの生活が壊れちゃうから」と口止めされましたが、子どもの電話相談で「お母さんに言ってみては」と勧められたミツキさんは、勇気を振り絞って母親に事実を告げることに。
でも残念なことに、そしてよくあることながら、母親は彼女の話を信じてはくれませんでした。「(継父は)やってないって言ってるよ、寝ぼけたんじゃないか」と言うのです。
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