親は「子どもも幸せになるはず」と信じて再婚するのに、子どものほうは「再婚する前のほうが、まだよかった」と思っている。取材をしていると、そんな親と子の認識のズレをよく目のあたりにします。
継子を大切に育て、良い関係を築く継親も、もちろんたくさんいます。ただ一方では、継親から精神的・身体的虐待を受けた人の声も多く聞きますし、性虐待を受け、人生を壊された人たちも少なからず存在します。
今回お話を聞かせてもらったのは、継父による虐待にさらされてきたミツキさん(仮名)です。高卒で就職して家を離れて約6年。彼女はいまも心の傷を抱えていますが、パートナーの支えを得ながら精神科の治療を受け、仕事を続けています。
家族内での性虐待など、考えたくもない話かもしれません。でもそれは現実に起きていること。ないことにはできないのです。
憎い相手の子である私や妹は母の「黒歴史」
3歳のとき、両親が離婚しました。母と妹と暮らしていた頃、生活に余裕はありませんでしたが、ミツキさんにとって悪い思い出ではないようです。
小学校に入る前、リサイクル店で3000円のランドセルを買ってもらったときは「すごくうれしくて、何回も『背負わせて』と言った」そう。「記憶が美化されているかもしれないけれど、この頃が一番楽しかった」といいます。
でも、母親が男性と付き合いだしてから、状況は変わっていきました。いつも3人で川の字になって寝ていたのに、男性の家に連れていかれると妹と2人だけで寝かされて寂しかったし、母だけが男性の家に行くとき、保育園のママ友の家に預けられるのも苦痛でした。
「(ママ友の家で)『迷惑だな』って思われているのは子どもながらにわかるんですよ。『なんで私が預からなくちゃいけないの?』みたいな。なので、すごく居心地が悪かったです。でも、それを母には言えないんですよね」
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