「失敗を恐れる子」にこそ伝えたい考え方のスキル 「分解して考える」と悩みや不安は割と吹き飛ぶ

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金間:これも、やるべきことにフォーカスして、分解するスキルではないでしょうか。「今日のこの2時間は、他のことをシャットアウトして、この課題にだけフォーカスしよう」と。物事をこのように分解して考えられる人が、コツコツやっていけるのだろうと感じます。

西岡:確かに、やるべきことを切り分けて、操作できるから集中できるんですよね。「集中しなきゃ」と考えるのではなく、決めた作業だけをしているんです。

分解のスキルが「自己肯定感」高めるきっかけに

金間:僕は、物事を転換して考えるために、やはり分解のスキルが効果的だと考えます。

金間 大介 (かなま だいすけ)/金沢大学融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授。北海道生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士)、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、 東京農業大学准教授、金沢大学人間社会研究域経済学経営学系准教授、2021年より現職。主な研究分野はイノベーション論、技術経営論、マーケティング論、産学連携等(撮影:尾形文繁)

失敗、成功、ハイリスク、ローリスク、痛い、痛くない。人の目が怖いという感覚も、分解していくと、プロセスとして落とし込まれていきます。

正面から自己肯定感の低さを解決しようとしても、厳しいのですが、プロセスに落とし込んでしまえば、失敗や成功も、そのなかの歩みとして見られるようになるのではないかと思います。

西岡:そうですね。分解は自分でしなければなりませんが、分解するというモチベーションは、先生が与えてあげるべきだと思います。

人と会話をすることで、分解されることがあるんですよね。「英語の何ができなかったの?」「その設問のどの部分が特にわからなかったの?」。そう聞いていくと、自分でどんどん前に進んでいくことがあるんです。

悩みなんて、分解できれば、大抵なんとかなるものです。漠然とした不安も、分解して見えてくるのは、1つの仮想敵に過ぎません。でも、そんなのは存在しない。悩みの源泉は、実はすごくちゃちな自意識だったとわかると、晴れてしまいますよね。

金間:分解していくことで、向き合う対象を、他人から自分に変えられるということですね。ここを少しずつでも積み重ねていけば、結果的に、ハッピーで、集中力の高まった人になっていきますよと言えるのではないでしょうか。

進学も就職も、消費行動も教養も、ほとんどが他人基準になっている時代です。何かニュースがあると、まずはネットニュースのコメント欄を見る。自分で解釈することすらできず、他人基準になるんですよ。これを、なんとか自分基準に持っていきたいですね。

その大事なきっかけとして、分解のスキルを高めていけるようになればと思います。

(構成:泉美木蘭)

金間 大介 金沢大学融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授

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かなま だいすけ / Daisuke Kanama

北海道生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士)、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、 東京農業大学准教授、金沢大学人間社会研究域経済学経営学系准教授、2021年より現職。主な研究分野はイノベーション論、技術経営論、マーケティング論、産学連携等。著書に『イノベーションの動機づけ:アントレプレナーシップとチャレンジ精神の源』(丸善出版)、『イノベーション&マーケティングの経済学』(共著、中央経済社)など。

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西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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