「失敗を恐れる子」にこそ伝えたい考え方のスキル 「分解して考える」と悩みや不安は割と吹き飛ぶ

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西岡:簡単な答えで逃げるのではなく、どこの何が問題なのかを知る能力が必要です。この能力は、徹底的に分解する作業を普段からどのぐらいやっているかによって変わってくると思います。

例えば、「単語帳のP.30からP.35を1日3時間勉強して、1週間で覚える」と決めるとします。東大生なら、ここに「P.35までできればいいが、P.33まででもいい」という最低目標を作っておくという分解もします。

これは、すべての物事に通じます。例えば、頭のいい人は、言葉選びも巧みです。相手がどんな言葉を選んだかというところから、相手のことがわかりますし、日常生活でも、物事を分解して理解する必要があります。

「分解するスキル」を鍛える習慣

金間:どうやって積み重ねていけば、世の中をもっと分解して理解できている状態になるのか。研究者として、フォーカスしたいところでもあります。

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西岡:僕は、言葉を分解することかなと思っています。最近、大学入試では、ファクトとオピニオンの問題がよく出題されます。「これは事実でしょうか、意見でしょうか」という設問ですね。

例えば、「仲が良い」という表現は、主観的なものですが、客観的に「仲が良い」ことを説明する場合は、どんな言い換えができるのかを考えることもできます。

「週1回の頻度で会っている」「君たち仲が良いよねと言われた」など、客観的な指標に落とし込むと、「仲が良い」はどう分解されるのか。こういったことを考えていくと面白いと思いますね。

金間:それはトレーニングとして有効かもしれませんね。

データサイエンスの時代になり、エビデンスベースと言われ、ファクトとオピニオンを分けなければならないという議論が強くなり、そういった問題が出題されるようになったのだと見てはいました。

主観か客観かというのも、どこまでがデータやエビデンスに基づいているか、それをどう分解できるかという代理変数的な考えですね。でも、そこからもっと深めて考えてもいいわけですね。

西岡:ファクトとオピニオンを切り分ける問題は、意外と正答率が低く、苦手な学生が多いんです。語彙力を増やす感覚に近いですし、まずは言葉を使い分けることから始めてはどうだろうと思います。

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