活躍の裏で"2度の休職"「銭湯図解」塩谷さんの体験 早稲田→設計事務所のエリートコースを経て・・・

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ーーそれで、病院に?

塩谷:はい。病院で、「機能性低血糖症」だと診断されました。ストレスが原因で、血糖値がうまくコントロールできなくなる病気だと。血糖値が低い状態って、体のだるさとかめまいと、あとは抑うつ症状が出てしまうんですよね。当時の私が、まさにそんな状態でした。

「1週間くらい休むことになるのかなあ……」って思ったら、お医者さんから「1カ月休職」と言われて。1カ月たって病院に行ったら「まだだめ。3カ月休みなさい」と。結局、3カ月休職することになりました。

(撮影:山中康司)

罪悪感、無力感、喪失感に苦しむ日々

ーー以前Twitterで、休職していたときのことを「会社や家族に迷惑をかけている罪悪感と無力感と、落伍者の烙印を押されたような喪失感でいっぱい」だったと書いていましたよね。

塩谷:まさにそんな感覚でしたね。 頑張っても結果が出なかったから、より一層頑張ったのに、全然ダメだった。だから、自分に対する信用が過去最低になっていたんです。

会社の人にも、実家にいたので親にも迷惑をかけている。自分が本当に価値のない存在に感じて。今思うと、「そんなの、当たり前だよね」と思うんですが(笑)。

ーー当たり前、というのは?

湯あがりみたいに、ホッとして
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塩谷:私が逆の立場だったら、もし休んでいる人がいたらカバーするし、身近な人がつらい状況なら助けるはず。だから、助けてもらったことに感謝はしても、罪悪感を感じる必要はないと思うんですよね。

でも、当時はそう思えなかった。正直、「もうこの世からいなくなってしまおうかな」って思ったときもありました。 でも幸い、死ぬ元気もなかったんですよね。もうちょっと元気だったら、危なかったかもしれない。

ーー僕も無職だった期間があるんですが、自分が価値のない人間に思えて、本当につらい経験でした。働いていない期間って、必要以上に他人と自分を比べてしまいませんか?

塩谷:そうなんですよね……。私も休職中、SNSを見て凹んでいました(笑)。大学の同期は大きいプロジェクトに関わって、建築家への道を着々と進んでいる。一方の私は働くこともできなくて、「何をやっているんだろう……」と。

あの、社会から外れた落伍者でしかない感じが、当時はとても恐ろしかったですね。

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