人気ジョッキーが解説、緊張を「遠ざける」工夫 冷静にレースを迎えるために必ず行うこと

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日本を代表するジョッキー・川田将雅さんが、負け続けたからこそつかめた「思考法」とは(写真:simonkr/gettyimages)
マカヒキでの日本ダービー制覇やラヴズオンリーユーでのブリーダーズカップ フィリー&メアターフ勝利など数々のG1レースを制してきた、日本を代表するジョッキー・川田将雅さん。その活躍は負け続けたからこそ、つかめた「思考法」にあると語ります。
本記事ではビジネスパーソンにも役立つ思考法を、川田さんの書籍『頂への挑戦 負け続けた末につかんだ「勝者」の思考法』から一部抜粋・再構成してお届けします。

デビュー以来初めて緊張した桜花賞レース前

競馬におけるメンタルの在り方は、「どれだけ冷静でいられるか」という一点に尽きると思います。

レース中は、とんでもない量のアドレナリンが出ていて、とんでもない興奮状態の中、最大18頭が平均時速60kmで走りながら勝ちを競います。大げさでも何でもなく、尋常ではないことをしているわけです。

とはいえ、興奮した状態に心身を委ねていては、競馬を組み立てることはできません。その興奮状態にある気持ちをどう有効に使い、一方でいかに冷静さを保てるか──。非常に繊細なメンタルのコントロールが求められる競技だと僕は思います。

これは生まれ持ったものなのかもしれませんが、僕はもともとパニックになったり、自分を見失ったりするタイプではありません。

後述する、ハープスターとトゥザワールドでクラシック競走に向かった2014年は、今では「守りに入ってしまった」と振り返っています。しかし、その時点での自分の技術を冷静に捉えていたからこそであり、そのうえで、レース中も冷静すぎるくらいの判断=守りに入ってしまう選択……という流れだったのではないか、と自分自身では分析しています。

競馬に乗っていて思うのは、レース中のメンタルのコントロールは、できる人とできない人がはっきりと分かれていて、できない人にいくら重要性を説いたところで、根本的には変わらないということ。

考え方や気持ちの持っていき方でなんとかなるものではなく、その人が持っている根本的な気質が現れる部分、というのが僕の解釈です。

次ページデビュー以来、レース中に緊張を感じたことは一度もない
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