人気ジョッキーが解説、緊張を「遠ざける」工夫 冷静にレースを迎えるために必ず行うこと
デビュー以来初めて緊張した桜花賞レース前
競馬におけるメンタルの在り方は、「どれだけ冷静でいられるか」という一点に尽きると思います。
レース中は、とんでもない量のアドレナリンが出ていて、とんでもない興奮状態の中、最大18頭が平均時速60kmで走りながら勝ちを競います。大げさでも何でもなく、尋常ではないことをしているわけです。
とはいえ、興奮した状態に心身を委ねていては、競馬を組み立てることはできません。その興奮状態にある気持ちをどう有効に使い、一方でいかに冷静さを保てるか──。非常に繊細なメンタルのコントロールが求められる競技だと僕は思います。
これは生まれ持ったものなのかもしれませんが、僕はもともとパニックになったり、自分を見失ったりするタイプではありません。
後述する、ハープスターとトゥザワールドでクラシック競走に向かった2014年は、今では「守りに入ってしまった」と振り返っています。しかし、その時点での自分の技術を冷静に捉えていたからこそであり、そのうえで、レース中も冷静すぎるくらいの判断=守りに入ってしまう選択……という流れだったのではないか、と自分自身では分析しています。
競馬に乗っていて思うのは、レース中のメンタルのコントロールは、できる人とできない人がはっきりと分かれていて、できない人にいくら重要性を説いたところで、根本的には変わらないということ。
考え方や気持ちの持っていき方でなんとかなるものではなく、その人が持っている根本的な気質が現れる部分、というのが僕の解釈です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら