テレビ局から有力社員が次々いなくなる深刻事情 羨望の的だったはずが魅力的な企業ではなくなった

拡大
縮小

だが、ここ数年の「辞めた、その先」には大きな変化が起きている。

映像制作を行う企業に転職しながらも、その主戦場がネット、つまり「地上波テレビ」ではないというケースも出てきているからだ。

彼らは、自身の「コンテンツ制作力」をテレビ局ではないところで発揮することを〝選択〟した。「従来のテレビ局」であれば、これからが〝本領を発揮〟できる30代での転身も目につく。

私は49歳で退職したのだが、30代後半から40代は「力を存分に発揮できた」時期だった。

演出・プロデュースの〝基礎体力〟が身に付き、社内・社外とも仕事上の信頼関係ができあがり、次々と大きな仕事を任せてもらえる。

あるいはやりたい企画を実現できるようになる、「従来は」そういう年代だった。

「従来は」としたのは、現在は「もはや、そうではない」ということである。

“本領を発揮できない場所”に?

若い彼らにとって「40代以降のテレビ局」は、〝本領を発揮できない場所〟だと思ったのではないだろうか。

巷でいわれている通り、「コンプライアンス上の制約」は年を追うごとに厳しくなっている。併せて「番組予算」も、20年前と比較すれば〝半減〟と言っていいくらいに削減されている。

テレビ番組における(良くも悪くも)尖った面白さや、斬新な企画は生み出すことが非常に難しくなっているのだ。

しかもテレビ局における「コンプライアンス」は、より厳しくなることはあっても〝緩くなる〟ことは当面ないだろう。

また、番組予算に関しても増加は見込めない。

スポンサー企業が購買ターゲットとして望む「10代から30代の若い世代」は、少子高齢化とともに減り続けていることもあり、スポンサーがテレビCMに投下する資金は急増する可能性は低いだろう。スポンサーからの収入が増えなければ、番組予算も増えることはない。

次ページテレビを見る人口はこの10年で一気に減った
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT