コース数日本一「市原」のゴルフで街おこしの全貌 ジュニアの育成からスタートさせ裾野を広げる

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また、連携協定を結んだことで、約260人の兵庫プロ会の雰囲気も変わったそうだ。「三木市と一緒に、これまでと違うことをやる。企画書を提出して実現させる。若いプロは乗り気になっています」(林副会長)と言う。ジュニアだけではなく、お見合いゴルフのようなイベントを実施するなど、「協定書にないことでも、ゴルフで地域を盛り上げようということです」と、笑った。

ティーチングプロにとって、日々練習場に来た人にレッスンをしているという環境から、自治体との連携で活動資金を得られたこともあって、ゴルフを広めるためのさまざまなアイデアを実現させられるという期待や効果があるようだ。

連携協定でまず始めた(始める)事業は2自治体ともにジュニア育成だ。

「雪国の学校は授業でスキーやスケートをしている。市原市は33のゴルフ場があるのが強み。子どもたちには(将来的に)授業の一環としてやっていけるようになれば」と小出市原市長。小中学校の体育授業にゴルフが取り入れられることはゴルフ界の念願でもあるだけに、2自治体での成果は今後のゴルフ界にも影響を与えそうだ。

ゴルフで街おこしはできる?

三木市、市原市の連携協定は「ゴルフを利用して街おこしできないか」と考えている地方自治体のモデルケースになりうるだろうか。

この2つの自治体には、先述したようにゴルフ場数も日本1、2位。ゴルフ場利用税の交付金も多い。県プロ会のティーチングプロの数も多い。PGAと連携して「ゴルフで街おこし」の環境は整っている。

PGA会員は日本全国で活動しているが、都道府県、市町村単位でプロ数の格差もある。極端に言えば、1つでもゴルフ場があり、1人でもPGA会員がいればできない話ではないが、それでは広がりが望めない。1自治体では難しくても、近隣の複数の自治体でブロックをつくれば、こうした連携は可能だろう。

今後は連携協定をどう大人へと展開していけるかも課題だ。小出市原市長は「手ぶらでゴルフとか、ゴルフをしやすい環境にしていきたい」と、市原市でゴルフすることが既存のゴルファーにとってもメリットになる企画ができるかもしれない。

また、コロナ禍で増えた主に練習場でのゴルフ体験者を取り込む方策、例えば自治体にあるゴルフ場でゴルフデビューへの援助なども、全国旅行支援のような形で予算をつければできそうだ。

連携したからといってすぐには多くのことは難しいかもしれないが、2つの自治体が成功例を積み上げていければ、子どもたちの成長に役立つ、人を呼び込む、地域が喜ぶなどのために、ゴルフが有効手段の1つという実証になるだろう。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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