「認知症で親の財産凍結」子の"相続地獄"避ける策 「介護費用」「空き家となった実家」はどうなる?
「相続」の何がそんなに手間なのか
相続は“手続き”です。だから、本音を言えば、なるべく手間をかけたくありません。
しかし、現実には大変な手間がかかります。だからこそ自分の財産も法的にしっかりと守られているわけです。家族だからといって、簡単に財産が配偶者や子どもに移動できるようでは、安心できません。
相続でも同じです。「本物の相続人」を証明する戸籍を故人の生まれた日に遡って用意し、どこに相続財産がいくらあるかを調べ、分割協議書に印鑑証明書を付けて実印を押し、銀行で手続きをして、法務局で登記し……これらは最低限しなければなりません。
ところが実際には、この手続きの前に思わぬ落とし穴が、それこそいくつもあって、“手続き”に大変な手間と時間と費用がかかってしまうのです。実際に相続が始まってからだけでも、そもそも財産はどこに、何があるのかわからない。
わかったとしても遺産分けをめぐって家族間でもめる。さらには、もらっても売れないものなら納税できない等々……。
さらに重要で、特に最近注目されているのが、亡くなる前の問題です。認知症になると自分の預金なのに引き出せず、施設入居の一時金のための自宅売却もできない「財産凍結」の憂き目に遭うのです。すると、亡くなる前から手続きは困難になり、費用もかかり、家族のもめ事が急増します。もちろん相続対策の贈与もできなくなり、やがて遺言書も書けなくなります。
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