「部下が動かない」と悩んだ時に実践したい3原則 「自ら動きたくなる」欲求を起こさせるのがコツ

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最も美しい人との関わり方は、本人が見えていないその人自身の素晴らしい面を見つけて、その力を発揮できる場を提供してあげることだと思います。

人間は、自分で自分のことを理解しているようで、実はよくわかっていません。他人からの批判や失敗によって、ついつい「自分にはこの辺までかな」「できないな」と思ってしまう。

あとになって特に記憶に残るのは、機会をくれた人です。自分の可能性を信じて、自分には少し無茶ではないかと思うような役割や目標を与えてくれる。「そんなに期待してもらったなら、頑張ろう」と乗り越えた瞬間、成長した自分と、それまでには見えなかった景色が見えるようになります。

人を動かす原則の3つめは、相手の立場に身を置き、強い欲求を引き出すことです。

「群盲象を評す」という話をご存じでしょうか。インドに何千年と伝わるもので、時代を超えた普遍的な示唆を示すといわれています。

目の見えない人たちに象を触ってもらい、その感覚から象がどんなものかを話してもらいます。
象の足に触れた人は「柱のようです」と答えました。
しっぽに触れた人は「鋼のようです」と答えました。
長い鼻に触れた人は「木の枝のようです」と答えました。
みんなまったく違うことを言います。

相手の立場に身を置くということは、できるようで難しい。全員が同じように見えていると思っても、人によって見えるものは違います。

自分に見える範囲で判断しがち

物事には真実があると思っているけれど、それはあくまで自分の解釈でしかありません。人間の脳は過去の経験や記憶から解釈をパターン化してしまいます。そのため、どうしても自分に見える範囲だけで相手を判断してしまいがちです。

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相手の心のベースにある欲求を知るためには、偏見なく全体を撫でて全体像を捉えなければいけません。その人の行動の背景にある夢や想い、願望は何なのか、何に興味を持ち、どんなことを求めているのか。相手が過去や現在の経験を通して見ている世界を、共に見ようとする意識が重要です。

その上で、相手の心に自分から動きたくなる欲求を起こさせます。

人を動かすには、相手の欲しがっているものを与えるのが、唯一の方法です。まずは、「この人がワクワクするポイントはどこだろう?」「何を与えると喜んでくれるのだろう?」と相手に興味や関心を持って観察しましょう。

岸 昌史 Axia Strategic Partners代表取締役

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きし まさふみ / Masafumi Kishi

関西学院大学商学部、北京大学Executive MBA、桑沢デザイン研究所戦略経営デザインコース卒。学生時代はアメリカンフットボール部に所属し、日本代表や日本一を経験。
2005年三井物産へ入社し、インドネシアへ単身駐在。新会社4社の立ち上げをリード。2016年ボストン コンサルティング グループに移り、入社2年目に年間MVPを受賞。その後TABILABO(現:NEW STANDARD)へ転職し、事業統括責任者として経営全般に関与。
2019年「人の持つ可能性を爆発させ、未来の憧れとなる人や組織を生み出す」ことを目的に、経営コンサルティングとコーチングサービスを提供するAxia Strategic Partnersを起業。

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