「部下が動かない」と悩んだ時に実践したい3原則 「自ら動きたくなる」欲求を起こさせるのがコツ

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仕事をしていて誰かに嫌がらせを受けたり、街を歩いていて人から理不尽な扱いを受けたり、「何でこんなことを言うんだろう?」と思う瞬間があります。きっと相手には、自分には見えていない物語や景色があって、それが理由で唐突なアクションが出てしまっただけだ。そう捉えることができれば、「仕方なかったんだな」と優しく受け止めることもできます。

私は「どんな人に会っても、まずその人の中にある美しいものを見る」ということを、常に意識しています。

相手の素晴らしい一面を探す対話はとても楽しい時間です。相手の視点を通して自分にない考えや経験を知り、世界を新たな方法で見ることができるようになります。その発見が、人生を豊かなものへと変えてくれます。

また、人をできる・できない、使える・使えないなど、ジャッジしないように気を付けています。その人の良い面も場面が変われば弱みになり、逆もしかりです。 ジャッジしてしまえば、その人の中にある素晴らしい一面を見落としてしまいます。

お互いの違いは、お互いの個性として捉えます。相手のことを知れば、その人に対して好意を感じるようになります。すると相手も自分のことを好意的に捉えてくれる。そこから協力関係が生まれていきます。

相手に自己重要感を持たせる

人を動かすための原則、2つめは自己重要感を持たせることです。この視点では、こんな素敵な例があります。

アメリカにモーリスという名前の少年がいました。モーリス君は出産予定日より6週間も早く生まれたため、生まれてすぐ保育器に入りました。それが原因で、ある障害を負うことになります。
モーリス君が小学生のとき、こんな事件がありました。理科の実験室で飼育していたネズミが逃げてしまったのです。実験室の窓もドアも閉まっているので、どこかにいるのは間違いありません。子供たちはみんなで探し回りましたが、ネズミは見つかりません。

そこで、先生は子供たちを椅子に座らせて言いました。

「見つかりませんね。ここはネズミを見つけることがいちばん得意な人にお願いしたいと思います。モーリス君、お願いできますか?」

先生の言葉を聞いた子供たちは、騒然となりました。

「えー。先生、モーリスには無理だよ。忘れたの?」

子供たちが騒いだのにはわけがあります。モーリス君は保育器の中で酸素を大量に吸ったことが原因で、目が見えなくなってしまったのです。

先生は言いました。

「モーリス君は、目は見えないけれど、神様から与えられた素敵な耳があります。彼はあらゆる音を聞き分ける素晴らしい才能を持っています。みんなには聞こえないネズミの小さな音を聞き分けて、きっとネズミを探してくれることでしょう。私は信じています。モーリス君、お願いします」

モーリス君は先生の期待に応えて、みんなが見つけられなかったネズミを見事に探し出しました。

これが成功体験となり、彼は聴力を生かして音楽の道に進みます。目は見えず聴力だけに頼るシンガーソングライターとして全米デビュー。その名はスティービー・ワンダーといいます。
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